| 記事番号 |
20080401-7002 |
| タイトル |
モルドバ共和国で2007年10月に発生して以来、現在も進行中のムンプス流行 |
| 記事日付 |
2008/03/27 |
重要度 |
C |
| 国名 |
モルドバ共和国
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感染症名 |
ムンプス |
| 概要 |
モルドバ共和国は全国的なムンプス流行に見舞われており、2008年3月23日時点で、報告された患者数は19,550名に上っている。今回の流行は2007年10月に開始され、その一月中に患者105名が報告されたが、2007年1月から9月の月平均患者数は24名に過ぎなかった。2007年10月1日から12月31日の間には、患者1,524名が報告された。 |
| 和文 |
公式情報: 情報源: Eurosurvellance, Volume 13, Issue 13, 3月27日。 モルドバ共和国で2007年10月に発生して以来、現在も進行中のムンプス流行
著者:H Bernard (Robert Koch 研究所 (RKI)、ベルリン、ドイツ)他。
序論: モルドバ共和国は全国的なムンプス流行に見舞われており、2008年3月23日時点で、報告された患者数は19,550名に上っている。今回の流行は2007年10月に開始され、その一月中に患者105名が報告されたが、2007年1月から9月の月平均患者数は24名に過ぎなかった。2007年10月1日から12月31日の間には、患者1,524名が報告された。
モルドバ共和国では、単回の一価ムンプスワクチン接種が、15〜18カ月児を対象に1983年に導入された。2002年以来、2回目接種がMMRワクチンを用いて6〜7歳児(両コホートとも1995年以降に誕生)に接種された。報告されたムンプスワクチン接種率は、その導入後高率となっている。例外は政治体制の変革のためにワクチン不足が発生した1990年代前半の時期である。定期の全国サーベイランスデータによれば、ムンプスワクチンの接種率は、1989〜1993年生まれの個人では94%以上である。2回接種率は、1995〜2000年生まれの個人で96%以上である。1994年生まれコホートでの接種率は、1回目が99%、2回目接種率が21%である。前回のモルドバでの大規模ムンプス流行は1996年〜1998年にかけて発生し、1983〜1990年生まれを中心に(全患者の60%)患者28,845名が報告された。
2008年2月に、同国保健省は、ムンプス流行の広がりを確定し、患者とそのムンプスに罹患するリスク因子を評価し、今回の流行に対する勧告を行うため、WHOヨーロッパ地域事務局によってコーディネートされた国際感染症調査チームを招聘した。
以下は、3月2日までの今回の流行の規模および特性に関する予備的な調査結果である。
方法: モルドバ共和国では、ムンプス患者は家庭医、病院および保健センターによって、その発症日、予備的診断、入院および入手可能な場合はワクチン接種歴について、予防医学地域センター(RCPMs)44カ所に届け出される。RCPMsは、それらのデータを集計して、月単位、年単位でNational Scientific and Practical Centre for Preventive Medicine (NSPCPM)に伝達する。定期の感染症報告に加えて、NSPCPMへの毎週のムンプスデータ送信が、今回の流行をモニターするために、2007年12月17日に導入された。これらの報告は、疑い患者の緊急届け出に基づき、患者の年齢、ワクチン接種歴、入院の有無、教育機関での患者数などの情報を含んでいる。本報告で調査チームは、2007年12月17日から2008年3月2日にかけて毎週報告された患者について記述する。
ムンプスは、臨床医が診察所見に基づいて疑った場合に届け出される。極一部の患者(n=388、3名)については、検査が実施された。患者血清検体での抗ムンプスIgM抗体検査が、ムンプスIgM抗体ELISAキット(Novalisa, Novatec Immundiagnostica GmbH, Germany)を用いて、NSPCPMで実施された。 咽頭拭い、口腔分泌物および尿を含む臨床検体(n=21)に対するPCR検査は、オランダの公衆衛生環境研究所(RIVM)、英国の健康保護局(HPA)感染症センターで実施された。
流行の概況: 2007年10月1日から2008年3月2日の間に、モルドバ共和国では、麻疹患者14,729名が報告された。患者報告数は、新年New Year’s Day休暇後の数週間に急速に増加した。今回の流行は本稿記述時にも進行中であり、2008年第9週にはピークの患者数2,096名が記録された(図1、原文参照)。今回の流行前の数カ月間は、月間の患者発生率は、人口10万人当たり1例未満であったが、2007年12月には人口10万人当たり25例に、2008年2月には人口10万人当たり170例以上に上昇した。
症例: 大部分の患者(n=11,128; 80%)が15歳から24歳(1983年〜1992年生まれのコホート)で、60%が男性であった(図2、原文参照)。2月末までに、モルドバ共和国の全地域から患者発生が確認された。
ワクチン接種歴は患者の67%(患者13,853名中9,223名)で確認され、その内の96%が接種を受けており、4%は2回接種を受けていた。
合計で患者の5,649名(41%)が、疫学的(隔離)および臨床上の理由で、あるいは看護が困難という理由(例えば、寄宿舎に住む学生)で、入院とされた。合併症に関する情報は全国レベルでは確認されていない。死者は報告されていない。 有症者から採取された血清検体367件の内、234件(64%)が抗ムンプスIgM抗体陽性であった。血清367件中313件は、発病後8日から28日に採取されたが、その内の68%は陽性であった。抗体陽性率が最も高かった検体は、発病後11日から20日に採取された血清であった(72%)。RIVM(3名)とHPA(18名)でPCR検査された患者血清21件の内、20件はムンプスウイルス陽性であった。同定された遺伝子型D5ウイルスは、クロアチア、デンマーク、英国、カナダおよび米国を含む他の数カ国で最近確認されていた(HPAのDr K. Brown/Dr L. Jinとの私信)。
公衆衛生対策: 今回の流行に対して、NSPCPMは自宅での隔離が保証されない患者、特に寄宿舎や寄宿学校に在籍している学生に対して、疫学的理由(隔離)からの入院を勧告した。勧告された隔離期間は、耳下腺腫脹発症から10日間であった。
2008年10月に、保健省とNSPCPMは、Supplemental Immunisation Activity (SIA、補充予防接種活動)にために、MMRワクチン60万回接種分の調達を開始した。2008年3月6日時点で、合計42,500回接種分のワクチンがモルドバ共和国に到着し、各医療機関に配布された。SIAは2008年第9週に、1989年から1994年生まれの個人全員(全教育機関の生徒、学生および院生を含む)と1984年から1988年生まれの教員、を対象として開始された。これまでにSIAで接種されたMMRワクチン総数に関する情報は確認できていない。
議論: モルドバ共和国は現在、ティーンエイジャーと若年成人を中心とした大規模なムンプス流行に直面している。患者の多くが、以前に単回の一価ムンプスワクチンの接種を受けていた。今回の流行と規模や発病した年齢層が一致するムンプス流行は、英国、米国およびカナダを含む数カ国で最近発生している。英国での流行では、2004年には患者の79%が1980〜1989年生まれであった。患者の約3分の2がワクチン未接種であったが、30%はMMRワクチンを1回接種されていた。米国とカナダでの流行は、患者の49%がワクチンを2回接種されていた。ムンプスのvaccine failureはprimary vaccine failure (PVF)、すなわちワクチン接種後の抗体誘導が不十分、が原因であることが多い。また、最近の複数の研究は、secondary vaccine failure (SVF)、すなわち時間経過とともに抗体価が低下すること(waning immunity、免疫失活)がムンプス流行再発の原因ではないかと指摘している。今回の流行では、患者での単回のムンプスワクチン接種率が高かったことから、「ワクチンによって抗体が誘導されなかった」ことが主因ではなかったことが示唆される。単回のムンプスワクチンに関するPrimary およびsecondary vaccine failureが現在、新たな疫学研究の中で調査されている。
今回の流行では、多くの患者が医療機関に収容された。その主な目的は隔離を保証するためであったが、臨床的、社会的理由も含まれた。しかし、ムンプスは発症の2日から4日前が最も感染性が高いこと、さらには不顕性感染者も感染性があることから、有症者の医療機関への収容は、一般市民への感染伝播を効果的に予防するとは考えにくい。
流行対策では、ムンプスに関する現在のWHO方針説明書(position paper)に一致して、高リスク群へのMMRワクチン接種が実施されている。ワクチン接種後副反応(AEFI)の潜在的懸念に対処するため、髄膜炎疑い患者の検査による調査を含めたAEFIサーベイランスおよび一次医療機関のスタッフや疫学者の訓練が、今回のワクチン接種キャンペーンに追加される予定である。 |
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