ウエストナイル熱

流行地

ウエストナイル熱は、発熱や脳炎症状をきたす蚊媒介性疾患のひとつです。
1937年ウガンダのウエストナイル地方での確認に端を発し、その後アフリカ、中東、中央・西アジア、ヨーロッパや極東ロシアなどで報告がみられます。とくに米国(アラスカ、ハワイ州を除く)とカナダ南部での感染拡大が著明で、米国では1999年ニューヨーク州での初発以来徐々に拡大し、2003年までにカリフォルニア州を中心に9,862症例(うち264人が死亡)が報告されました。2012年は5,674症例(うち286人が死亡)の報告があり、同国で感染患者が初めて確認された1999年以降で最多の死亡者数を記録しました。
わが国では2005年米国からの帰国者に初の輸入感染例が確認されました。

感染経路

自然界では、増幅動物であるカラスをはじめとする野鳥と蚊の間に感染サイクルがあり、ヒトへはウイルスを保有する蚊に刺されることにより感染します。ウイルス媒介蚊は国内にも生息するイエカ属やヤブカ属などです。
きわめてまれに、輸血や臓器移植、授乳による感染も報告されていますが、ヒトと蚊の間での感染サイクルや、直接的なヒト-ヒト感染はありません。ヒト以外にイヌやウマなどにも感染しますが、いずれも感染源とはなりません。

潜伏期

2~14日です。

症状

感染者の約8割は症状をきたさない不顕性感染で、残り2割程度は軽い風邪症状のみで1週間以内に自然治癒します。脳炎など重症化するのは感染者の1%程度で、特に60歳以上の方では重症化しやすく危険です。

治療法

特異的な治療法はなく、対症療法が中心となります。

予防等

防虫スプレーや蚊帳、蚊取り線香などの使用や服装面での注意、蚊の活動時間帯である夜間の外出を控えるなど防蚊対策が基本となります。予防内服薬やヒト用のワクチンは現在のところありません。

2014年1月更新