細菌性赤痢

流行地

世界中でみられる感染症ですが、衛生環境の劣悪な地域に多く、わが国でも年間数百例の報告があります。とくにインド、インドネシア、タイなどアジア地域からの輸入症例が多くみられます。

感染経路

患者や健康保菌者の糞便および汚染された手指、食品、器物、水、ハエが主な感染源となります。サルも細菌性赤痢に感染するため、輸入ザルが感染源となった事例もありました。
きわめて少ない菌量でも発症するのが特徴で、家族内で二次感染をきたすこともあります。

潜伏期

多くは1~5日ですが、なかには12時間で発症することもあります。

症状

発熱、腹痛、下痢、ときにおう吐などを伴って急激に発症、重症例ではテネスムス(しぶり腹)という症状を呈し、頻回の便意をともなう膿粘血便を排泄する典型的赤痢症状を示しますが、最近では重症例は少なく、数回の下痢か軽度の発熱だけで済む症例や、無症状で経過する症例もみられます。

治療法

健康な方では無治療でも4~7日で改善します。発症初期に抗生剤治療を行うと、症状の持続期間や保菌している期間が短くなることがあります。乳酸菌やビフィズス菌などの生菌整腸薬を服用したり、経口補水液(ORS)やスポーツ飲料で水分を補給しましょう。脱水症状が強い、あるいは飲水が難しいなどの場合には医療機関を受診しましょう。また、抗生剤については薬剤耐性の問題もあり、医師との相談が必要です。

予防等

現在のところ、細菌性赤痢の予防ワクチンはありません。汚染地域では、こまめに手を洗う、生もの、生水、氷などは食べないなど飲食物に対する十分な注意をこころがけてください。

2014年1月更新