ジアルジア症

流行地

消化管寄生の鞭毛虫に属するランブル鞭毛虫による感染症で、世界的に発生がみられ、感染者数は数億人に達するといわれております。特に熱帯や亜熱帯地域で上水道など衛生環境が粗悪な地域に多発しています。
わが国でも戦後の混乱期に多くの患者発生をみましたが、衛生状態の改善にともない発生数も低下しましたが、いまだ年間100例前後の患者がみられ、このうち6割以上が海外での感染と推定されています。その多くは発展途上国からの帰国者で、特にインド亜大陸からの帰国者における下痢症例で特に検出率が高く、旅行者下痢症の一因として注目を浴びています。
また、海外旅行での感染例では、細菌性赤痢や下痢原性大腸菌、赤痢アメーバなどとの混合感染例が少なくありません。
近年、男性同性愛者間でのHIV関連疾患としても注目されてきており、再興感染症としての認識が必要です。

感染経路

寄生虫形態のひとつ“嚢子”(のうし)保有者の排泄された糞便が感染源として重要な位置を占め、汚染された食品や食器をはじめ汚染飲料水からも感染します。嚢子は塩素消毒でも死滅されません。

潜伏期

1~3週間です。

症状

主に下痢や腹痛、悪心、衰弱感、体重減少などがあげられます。下痢は必発症状ですが発熱は通常みられません。無症状に経過する症例もみられます。

治療法

薬物による治療が必要となります。

予防等

衛生環境の劣る地域では、充分に加熱調理された食品以外は摂取を避けるように、また飲料水にも充分注意をはらう必要があります。