ジフテリア

流行地

ジフテリアは、ジフテリア菌による急性感染症です。アフリカ、南アメリカ、アジア、南太平洋諸国、中東諸国、東欧、ハイチ、ドミニカ共和国など多くの国で発生がみられます。近年、日本国内ではジフテリアトキソイドの定期接種によりジフテリア患者は激減し、1999年(平成11年)の報告を最後に国内での患者報告は認められていません。

感染経路

患者や無症候性保菌者の咳など飛沫を介して感染します。菌が侵入した局所の偽膜性病変と菌が産生するジフテリア毒素による病変とに分類されます。

潜伏期

2~5日程度です。

症状

ジフテリアは感染しても症状が出るのは10%程度で、残りの人が無症状の保菌者となり、その人を通じて感染する場合があります。咽頭や喉頭に病変がみられる場合が多く、発熱やおう吐、頭痛、咳などにはじまり、扁桃や気道に偽膜を形成して呼吸困難となり、嗄声や犬吠様咳嗽など特徴的な症状がみられます。ジフテリア毒素による病変として、心筋炎や心筋障害、末梢神経麻痺があげられます。他に眼や鼻、粘膜に病変をきたす場合もあります。

治療法

治療開始の遅れは予後に影響するので、抗菌薬投与など早期の治療がのぞましいですが、予防にまさる治療はありません。

予防等

世界各国ともEPI(拡大予防接種計画)の一環として三種混合ワクチン(DPT)の普及を推進しており、わが国でも1968年にはじまり、1981年より現行ワクチンによる定期接種となっています。
定期接種より10年以上経過している場合、ジフテリアワクチンによる免疫は低下していると考えられます。流行地に長期滞在する場合には、ジフテリアトキソイドを10年おきに追加接種することが推奨されます。

2014年1月更新