髄膜炎菌性髄膜炎

流行地

‘髄膜炎’とは、脳・脊髄の表面をおおっている髄膜に生じた感染症で、髄膜炎菌という細菌が原因のものが‘髄膜炎菌性髄膜炎’です。
サハラ以南のアフリカ大陸には、西は大西洋岸のセネガルから東はエチオピア・スーダンにかけて、髄膜炎菌性髄膜炎が多く見られる地域が‘帯(ベルト)状’に分布し、「髄膜炎ベルト地帯」と呼ばれています。
毎年12月から6月の乾季に流行がみられ、また、欧米諸国などでも局地的な小流行が見られます。

感染経路

髄膜炎菌は、健康な人の鼻やのどの粘膜にも定着しています。そのような人の鼻やのどの分泌物に直接触れる、あるいは咳によって放出された飛沫を吸い込むなどにより他者へ拡がります。吸入した髄膜炎菌が鼻やのどの粘膜に侵入し、やがて血流に乗って髄膜まで至ると、髄膜炎を引き起こします。

潜伏期

2~4日ですが、10日に及ぶこともあります。

症状

菌血症(敗血症)による高熱、皮膚、粘膜における出血斑、関節炎が出現しその後、頭痛、吐き気、精神症状、発疹、項部硬直(首の後ろが硬くなる)などの髄膜炎症状が現れます。劇症型の場合には、突然発症し、頭痛、高熱、けいれん、意識障害、血液凝固異常などを起こし、ショック状態で死亡する場合もあります。死亡率は10-15%で、早期に診断され適切な治療がされても5-10%、無治療の場合は50%とされています。

治療法

抗生物質による迅速な治療が必要です。

予防等

埃っぽい風や上気道炎が咽頭の髄膜炎菌に対する抵抗力を弱めると考えられています。流行地では、人混みを避ける、風邪をひかないなど体調管理に心掛けましょう。また、流行地に滞在される方は予防ワクチンの接種が勧められます。メッカ巡礼に際してはワクチン接種が要求されます。また、海外留学では、入学・入寮の際にワクチン接種を義務づけている場合もありますので、学校などに事前に確認して下さい。髄膜炎菌性髄膜炎ワクチンは、現在のところ国内未承認のワクチンですので、輸入ワクチンの取り扱いのある医療機関、あるいは現地のクリニックで接種しましょう。

2014年1月更新