鳥インフルエンザA(H7N9)

流行地

鳥インフルエンザは、インフルエンザA型ウイルスによる家禽の感染症です。本来は、カモやガチョウなど水禽に症状なく感染していたものが、ニワトリなど家禽に感染が拡がったウイルスで、亜型により病原性が異なります。鳥インフルエンザ(H7N9)ウイルスはニワトリに対しては致死性が低く、低病原性鳥インフルエンザに分類されます。
2013年3月鳥インフルエンザ(H7N9)のヒト感染例が初めて報告されて以降、中国国内で患者の報告が相次ぎました。また、4月には台湾で輸入例も報告されました。現在までのところ日本国内で感染者は確認されていません。
 今後、ヒトからヒトへ効率的に感染する能力を獲得した新型ウイルスに変異(その際に新型インフルエンザウイルスに指定される)し、世界的流行(パンデミック)を引き起こす危険性があることから検疫感染症に指定され、検疫所では継続して警戒を実施しています。

感染経路

H7N9型ウイルスのヒトへの感染経路は、感染者の多くに家禽など鳥との接触歴があることから、感染鳥と接触することでヒトへ感染が拡がる可能性が考えられます。しかし正確な感染経路は不明で、現在も調査が続けられています。H5N1型とは異なり、H7N9型ウイルスは鳥に対する病原性は低いため、鳥のモニターだけでは感染拡大の危険性を評価しにくいため、今後も新しい患者の発生に注意が必要です。

潜伏期

概ね7日(1~10日)と考えられています。

症状

初期は高熱と咳が出現し、多くの患者は重症肺炎、重度の呼吸障害である急性呼吸促迫症候群(ARDS)、敗血症、多臓器不全を合併し、死に至ります。一部軽症例や無症候の小児例の報告もあります。致死率は約20~24%です。

治療法

ヒト感染例にはインフルエンザ治療薬(タミフルなど)が有効とされています。

予防等

現時点では、中国への渡航に関するいかなる制限も勧告されていませんが、現地では、生きた鳥を扱う市場や養鶏場への立ち入りを避けるなど、鳥との接触は避けましょう。日常的には手洗いやうがいを心がけて下さい。十分火の通った物を食べましょう。ヒト(季節性)インフルエンザワクチンには、鳥インフルエンザに対する直接の効果はありません。

2014年1月更新