野兎病

流行地

野兎病は、野兎病菌による感染症で、北米からヨーロッパにいたるほぼ北緯30度以北の北半球にひろく分布がみられます。
近年、わが国において野兎病は非常にまれな感染症ですが、野兎病菌は今日でも国内野生動物の間で循環維持が考えられること、渡航者が海外の発生地で感染する、また最近では生物テロに使用される危険性のある病原体としてリストアップされるなど、留意すべき感染症の一つです。
平成14年には、事後の検査で陰性が確認されましたが、米国から野兎病に感染した疑いのプレーリードッグが日本に輸出されていた事例もありました。

感染経路

ウサギやリス、キジなどの野生鳥獣類、イヌやネコなどのペット、マダニ類などの節足動物等、感染源は多く、野生鳥獣類の調理や剥皮、咬傷をはじめ、保菌動物の体毛や屍骸が紛れ込んだ干草の吸入による感染や、保菌動物の排泄尿に汚染された河川水からの感染例もあります。ヒト-ヒト感染はありません。

潜伏期

感染成立から3日をピークとした1週間以内が多いですが、2週間以上や1ヶ月以上におよぶ症例もみられます。

症状

悪寒や戦慄、頭痛、筋肉痛、発熱など感冒様症状で発症し、所属リンパ節の腫脹と疼痛をきたし、皮膚紅斑をみることもあります。重症型では肺炎をともなう全身症状をきたす例もみられます。

治療法

抗生物質による治療が必要です。

予防等

野兎病菌の感染力はきわめて強く、粘膜部分や皮膚の引っかき傷、ささくれなどからも容易に感染するので、発生地域では動物との接触を避け、屍骸には触らないことが大切です。