E型肝炎

流行地

E型肝炎ウイルスによる一過性の急性肝炎です。インド、ネパール、パキスタンなど南アジア、ミャンマーなど東南アジア、キルギスなど中央アジア、アルジェリア、エジプトなど北アフリカ、メキシコ、中国新疆ウイグル地区などでの報告例が多いようです。最近では日本国内での発生も報告されています。

感染経路

ウイルスは糞便に排泄されるため、糞便に汚染された飲食品からの経口感染・水系感染が主体となります。
わが国でも、年間数十例の発生がみられますが、ブタやシカ、イノシシなどの動物はE型肝炎ウイルスを保有しており、これら動物の生刺しやレバ刺しなどの喫食による感染経路が最近になり指摘されています。

潜伏期

2週から9週間(平均6週間)です。

症状

急性肝炎になった場合、A型肝炎とよく似た症状で、黄疸(皮膚や目が黄色くなる)、発熱、食欲低下、腹痛がみられます。慢性化することはありませんが、重症度や致死率はA型肝炎より高く、劇症化することもあります。とくに妊娠後期の方がE型肝炎ウイルスに感染すると劇症化しやすく、致死率が20%にもなるといわれています。

治療法

A型肝炎と同様、原則として急性期には入院、安静加療を要します。
劇症肝炎に対しては血漿交換などによる治療が必要です。

予防等

衛生環境の劣悪な地域では、生水や生もの、氷、加熱調理が不十分な食品を避けましょう。
E型肝炎に対するワクチンは、現在のところ開発されていません。

2014年4月 更新