ハンタウイルス肺症候群
[流行地]

ハンタウイルスによる感染症のひとつで、1993年米国南西部four cornersとよばれる地域(ユタ、コロラド、アリゾナ、ニューメキシコ州)で腎臓の症状をともなわない急性呼吸器症状を示す症例が原住民ナバホインディアンのあいだで流行したのに端を発し、現在にいたるまでカナダやパナマ、アルゼンチン、ボリビア、ブラジルなど北米および中南米にいたる地域で確認されています。

現在わが国にはみられない疾患ですが、海外からの物流にともなって感染源であるネズミの流入(過去に岡山県の水島港で確認されています)により、疾患が輸入される危険性もあります。

[感染経路]

シロアシシカネズミなどさまざまなげっ歯類が感染源となり、ウイルスに汚染された糞尿がエアロゾルとして吸入される、あるいはウイルス保有げっ歯類による咬傷などでも感染成立しますが、原則的にヒト-ヒト感染は存在しません。

[潜伏期]

9〜33日間とはばがありますが、一般的には2週間とされます。

[症状]

発熱や頭痛、筋肉痛、関節痛、おう吐・おう気、下痢など非特異的症状にはじまり、急激に呼吸不全にいたります。

[治療法]

特異的な治療法はなく、呼吸管理など対症療法が中心となります。

[予防法]

ウイルスの自然宿主であるげっ歯類との接触を絶つことが基本で、流行地域でのキャンプなどの際には周囲環境のネズミ駆除をおこなう、しばらく使われていない小屋などはネズミ糞尿による汚染の危険性が高いと認識する、食品の保管にはネズミがかじらないよう蓋をしておくなどこころがけてください。