海外感染症情報 (NO.34)
平成21年4月1日
関西空港検疫所
フィリピンにおけるエボラ・レストンウイルスの豚およびヒトへの感染について(2)
 2月16日、フィリピン政府は、ブタと日々接触している食肉処理場従業員が、エボラ・レストンウイルスに対する抗体陽性を呈したと発表した。これで、フィリピンにおいて2008年12月からエボラ・レストンウイルスに対する抗体検査を始めて以来、141名中6名が陽性を示したことになる。この抗体陽性者6名はすべて、ブタと職業的に接触していたと報じられた。
 フィリピン保健省は、抗体陽性者6名全員の健康状態は良好のようだと述べた。ブターヒト感染が、最も起こり得る感染源と考えられている。現在までのところ、1989年に初めてエボラ・レストンウイルスに対する抗体を持ったヒトが報告されて以来、エボラ・レストンウイルスによる感染で、ヒトでの重症疾患が報告されたことはない。しかし、同ウイルス抗体が検出されたのは極少数のヒトであり、全員が健康な男性であった。ヒトへの脅威は、健康成人であれば低いようだが、免疫能の低下した者、基礎疾患を有した者、妊婦や小児といった人々にとっては、その脅威は不明である。
 エボラ・レストンウイルスはフィロウイルス科エボラウイルス属に属し、エボラウイルス属は、ヒトに対し高い病原性を持つことで知られている他のエボラウイルス種から成る。フィロウイルス科の全てのウイルスは、生物安全性レベルが最も高い研究室でのみ扱われる。
(平成21年3月31日 WHO情報)