海外感染症情報 (NO.62)
平成21年7月21日
関西空港検疫所

ナイジェリアにおけるポリオの流行状況について(2)

2009年、ナイジェリア北部の州で、野生型ポリオウイルス3型(WPV3)による大規模な感染流行が発生し、患者は258名にのぼった。2008年の同期間の患者数は32名だった。今年、ナイジェリア由来のWPV3は、国境を越えてニジェールにも拡大した。2月以降、ナイジェリア北部ではワクチン由来のポリオウイルス2型(cVDPV2)によるポリオ症例数も増加している(これまでのところ、103例が発症しているが、2008年の同期間中には31例であった)。どちらの血清型も持続しており、cVDPV2患者では国境を越えて拡がる危険性が高まっている。cVDPV2患者数は、WPV3患者数に比べて少ないが、野生型ポリオウイルス2型(WPV2)による最後のポリオ症例が1999年に発生していることから、この血清型の伝播はとりわけ国際的な関心事である。
  こういった危険性に応えて、1月下旬に1価経口3型ポリオワクチン(mOPV3)、また5月30日から6月2日まで3価経口ポリオワクチンの補足的予防接種活動(SIAs)を全国的に実施した。追加の補足的予防接種活動が年末に計画されており、8月には3価経口ポリオワクチンの同活動も実施予定である。
  これらのポリオウイルスが国境を越えて拡大する危険性とそれによってもたらされる結果を最小限にするため、急性弛緩性麻痺(AFP)のサーベイランスを強化し、地域住民の免疫の格差を把握し、3価経口ポリオワクチンによる定期予防接種を強化する必要がある。
 

(平成21年7月17日 WHO情報)