海外感染症情報 (NO.66)
平成21年8月12日
関西空港検疫所
中国におけるペストの流行状況について
 8月1日、中国保健省は青海省Ziketanの辺境な町で肺ペストの患者が発生したことを報告した。最初の症例は、32歳の牧民の男性で、7月26日から発熱と血痰が出現した。病院を紹介されたが、その途中で死亡し、翌日埋葬された。7月30日、初発患者と濃厚接触のあった11人(主に葬儀に参列した親戚)に発熱と咳が出現し、全員が入院した。8月1日、初発患者も含め、12人全員の検体が検査され、ペスト陽性が認められた。8月2日、初発患者の64歳の義父と遺体の埋葬を手伝った37歳の隣人男性も死亡した。残った9名の患者のうち、1名は重症で、1名は発熱、咳といった急性期症状を呈しており、あとの7名は安定した状態にある。
 8月6日の時点で、地元の保健当局は健康監視のため332名の濃厚接触者を隔離し、感染確認地域周辺の交通規制を実施した。疾病予防制御と治療の双方の専門家が青海省に派遣された。予防衣、X線撮影機やその他の医療機器が感染確認地域に送られ、予防説明書パンフレットも配布された。 疫学調査によると、今回の患者発生源は野生のマーモットで、初発患者の犬がこのマーモットと接触していた。この地域は、動物間でペスト菌が循環している地域で、現在は動物間でのペスト菌感染が活発な季節である。これまでのところ、菌への薬剤耐性は認められておらず、3名の死亡患者は、主に治療の遅れによるところが大きい。
(平成21年8月11日 WHO情報)