海外感染症情報 (NO.86)
平成21年11月5日
関西空港検疫所
ウクライナにおけるパンデミック・インフルエンザ(H1N1)の流行状況について

  2009年10月28日ウクライナ健康省は、国内西部で非常に高いレベルで急性呼吸器疾患が流行しており、入院患者や死亡者が増えているとWHOに情報提供した。   
 10月30日、ウクライナ健康省は、最も流行している2地域で急性呼吸器疾患を呈した患者から採取した検体のRT-PCR検査により、30検体中11検体で H1N1ウイルス感染を確認したと発表した。   
 状況は刻々と変化しており、Ternopil、 Lviv、Ivano-Frankivsk、Chernivtsiの地域で急性呼吸器疾患(ARI)やインフルエンザ様症状(ILI)は急激に増え続けている。これらの地域での伝染性の高さは、重症急性呼吸器疾患に関連した入院患者や死亡者数に相当している。10月30日には、子供1100人以上を含む2300人以上が入院した。このうち子供32人を含む131人が集中治療室での治療を必要とした。翌31日には、重症急性呼吸器疾患による死亡者は計38人となった。
 疫学予備調査により、重症例や死亡例は主に健康な20歳から50歳の若年層に起こっていることが示された。また死亡例や重症例は、症状が現れてから5日から7日経ってから治療を受けに行っているとの報告がされている。ウクライナ健康省からの求めに応じてWHOは、インフルエンザ大流行の影響を沈静化させるのを助けるための専門家特別チームを国家当局に配置した。
(平成21年11月1日 WHO情報)