海外感染症情報 (NO.88)
平成21年11月11日
関西空港検疫所
ウクライナにおけるパンデミック・インフルエンザ(H1N1)の流行状況について(2)

  2009年11月3日-ウクライナ健康省によると、現在国内では25万人以上のインフルエンザ様症状を呈する患者が報告されており、そのうち235名がICU治療を受けている。11月2日には70名の急性呼吸器疾患による死者が報告された。ウクライナの西部地域では、急性呼吸器疾患やインフルエンザ様症状の発生率は高いままである。Kyiv地域では急速に感染拡大している。   
 ウクライナの研究所での検査で、2つの流行地域の患者から取られた検体より新型インフルエンザウイルスが確認された。新型インフルエンザウイルスは、世界中で急速に優勢なインフルエンザのウイルスとなっており、同国で発生している多くのインフルエンザ症例も新型インフルエンザウイルスによるものと思われる。他の地域と同じように、WHOは、治療基準をみたす患者にはH1N1感染の検査結果が陽性でなくても、抗ウイルス薬のオセルタミビルやザナミビルを用いた早期の治療を強く勧めている。  健康省から送られた検体は、イギリスロンドンのMill HillにあるWHO協力機関のインフルエンザ調査機関に届けられた。同研究所は確認検査とウイルスの特定を行う予定である。
 多くの疑問がいまだ解決されていない。ウクライナの大流行は、これから冬を迎える北半球でウイルスがどのようにふるまうのか、特に西ヨーロッパでの治療体制について参考になるだろう。
(平成21年11月3日 WHO情報)