海外感染症情報 (No.121)
平成22年12月13日
関西空港検疫所
デング熱流行状況(熱帯・亜熱帯)
 

デング熱は、カリブ海地域・中米・東南アジア・南アジア等から帰国した渡航者に最も多くみられる発熱性疾患です。4種類の類似したウイルス(デングウイルス1〜4型)によって引き起こされ、このウイルスを保有している蚊に吸血されることで感染します。デング熱は、ほとんどが都会から報告されており、特別な治療法や予防接種はありませんので蚊に刺されないよう注意して下さい。 以下、最新のデング熱流行状況です。

アフリカ:全土で流行していますが、報告はさほど多くありません。アフリカ大陸南東マヨット島、マダガスカル東方のレユニオン島、アフリカ西沖合のカーボベルデ、セネガル等で、死亡例も含めて報告されています。

ヨーロッパ:フランス保健省は、同国南東部ニースで20109月に初めての現地感染によるデング熱患者を2例報告しました。フランス当局は媒介蚊対策や監視体制を強化しています。

南太平洋地域:この地域では周期的な流行が起こっていますが、典型的な流行時期以外にも注意が必要です。マレーシア・フィリピン・シンガポール・タイ・ベトナムでは、今年度はデング熱が大流行しています。また、今年度はオーストラリアの北部クイーンズランドからも報告があります。

アメリカ大陸・カリブ海地域:この地域では毎年デング熱の流行は報告されていますが、2010年は中米およびカリブ海地域(ブラジル・コロンビア・コスタリカ・ドミニカ共和国・エルサルバドル・フランス領ギアナ・グアドループ・グアテマラ・ホンジュラス・マルティニーク・メキシコ・ニカラグア・プエルトリコ・ベネズエラ)で異常なまでの大流行が見られています。また、合衆国フロリダ州キーウェストでも少数例報告されています。

中東:2010年を通して流行が報告されており、旅行者に人気のあるサウジアラビアのジッダも含まれています。

  

(平成22年12月11日 CDC情報)