海外感染症情報 (NO.45)
平成22年5月14日
関西空港検疫所

南アフリカにおけるリフトバレー熱の
流行状況について(
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  511日ドイツのベルンハルト・ノホト熱帯医学研究所は、南アフリカから帰国しリフトバレー熱と診断されたドイツ人旅行者に対するさらなる解析を行いました。その結果、患者はリフトバレー熱ではなくリケッチア感染であることがわかりました。

リッケチアは、通常tick feverとして知られており、吸血節足動物のノミ、シラミ、マダニなどによる細菌感染症で様々な病気を引き起こします。症状は、発疹、発熱、インフルエンザ様症状です。African tick bite feverrickettsia africaeによる比較的軽症の疾患で、発疹は目立たず重症になりにくいです。リケッチア感染症は、ドキシサイクリンやテトラサイクリンなどの抗生物質による治療が効きます。

510日までに、南アフリカ政府は18人の死亡者を含む186人のリフトバレー熱確定症例を、Free State州、Eastern Cape州、Northern Cape州、Western Cape州、North West州で報告しました。リフトバレー熱はウイルス感染症で、主に動物(畜牛、バッファロー、羊、ヤギ、ラクダなど)に感染しますが人へも感染します。リフトバレー熱の主な感染経路は、感染動物の血液・臓器への直接または間接的な接触によります。また、感染した蚊に刺されることによっても感染します。殺菌や調理のされていない感染動物のミルクを摂取することによっても感染するといわれています。

WHOは南アフリカへの渡航および南アフリカからの渡航制限を勧告していませんが、南アフリカを旅行する人、特に農場や禁猟区を訪れる人は、動物の血液や組織との接触を避け、未殺菌または未調理のミルクを飲まないようにし、生肉の摂取も避けるようにしましょう。また、蚊やその他の吸血昆虫に刺されないような防止策(防虫剤の使用、長袖長ズボンの着用、蚊帳の使用など)も行いましょう。

(平成22年5月12日 WHO情報)