海外感染症情報 (NO.46)
平成22年5月19日
関西空港検疫所

中国における手足口病の流行状況について

  2010年初頭以降、中国において手足口病の報告が増加してきています。3月においては77,000人以上の患者と、40人の死亡例が中国保健省に報告されました。

手足口病は幼児・子供においてよくあるウイルス感染症ですが、大人もまた感染することがあります。手足口病の流行は中国では春と夏に定期的に起こっています。今後数ヶ月は報告症例数が増加し続けることが予測されています。アジアの他の国々においても手足口病は報告されており、アジアの全ての国々への渡航者は手足口病に罹患するリスクを減ずるよう注意する必要があります。

手足口病は世界中にありふれたウイルスによって起こります。この病気は非常に感染力が強く、患者の体液との接触(咳やくしゃみなどの飛沫、唾液、水疱内液、便など)によって伝播します。

 

自分自身を守るため、手足口病が報告されている地域に旅行する際には以下に従って下さい。

・とくに食事前、咳・くしゃみの後、浴室に行った後などは、手を石鹸や水でよく洗って下さい。石鹸や水が使えない場合は、アルコールハンドジェル(60%以上のアルコール含有)を使用して下さい。アルコールハンドジェルを携帯しておくことをお勧めします。

・フォーク・スプーン・カップなどの食器を共有しないで下さい。

・手足口病患者との接触は避けて下さい。

幼児・子供・青年は手足口病により罹患しやすいので、これらの事項をよく守るようにして下さい。。

手足口病でよく見られる症状は、発熱・食欲低下・全身倦怠感・咽頭痛・口内炎(通常は舌・歯肉・頬粘膜)・水疱を伴う皮疹(典型的には手のひら、足の裏、臀部(おしり))

ほとんどの症例は軽症で、とくに注意を要さず合併症なく軽快しますが、稀に脳浮腫(脳炎)を含む重篤な合併症を来すこともあります。手足口病に対するワクチンは開発されていません。特別な治療法はなく、対症療法のみです。

(平成22年5月13日 CDC情報)