海外感染症情報 (No.66)
平成22年7月13日
関西空港検疫所
パンデミック・インフルエンザ(H1N1)
流行状況について(17)

 7月4日現在、214以上の国と地域から18,311例以上の死亡例を含む新型インフルエンザの確定症例が報告されています。

 新型インフルエンザの活動性は世界的に低い状態で推移しており、初冬を迎えた南半球の温帯地域でも新型、季節性インフルエンザとも高い活動性はみられません。ただし、熱帯地域とくに南アジア、東南アジア、カリブ海諸国、アフリカ西部では新型インフルエンザが高い活動性を維持しています。中米のいくつかの国でも季節性インフルエンザの活動性が増してきています。

 アジアでは、インド、シンガポール、マレーシアを除き、概ね新型インフルエンザの活動性は低いままです。インド南部のケーララ州では新型インフルエンザの高い活動性が持続していますが、新たな症例、重症例、死亡例いずれも感染の大きな広がりを見せた本年6月中旬以降ほぼ横ばいです。また、他の南部および西部の州では、本年6月以降新型インフルエンザ症例の軽度増加を認めています。シンガポールにおける新型インフルエンザは、本年5月以降峠を越したと考えられていますが、本年5月と6月に新型と季節性インフルエンザ(H3N2)の同時感染例を多数認めていますので注意が必要です。マレーシアでも、本年4月中旬から5月中旬をピークに新型インフルエンザの新たな症例は減少してきています。

 アメリカ大陸の熱帯地域では、パナマ、ニカラグア、コロンビアなどの中米諸国を除き、新型、季節性インフルエンザとも活動性は低いままです。とくにパナマでは、本年6月にA型インフルエンザ(ほとんどは季節性ですが、新型も含まれています)の症例数が激増しています。

 サハラ砂漠以南アフリカでの流行状況は、前回の報告からほとんど変化ありません。アフリカ西部のガーナにおける新型インフルエンザは、ピークから数ヶ月経過した現在でも高い活動性を持続しています。また、種々の季節性インフルエンザがアフリカ全土で報告されています。
(平成22年7月9日 WHO情報)