海外感染症情報 (No.79)
平成22年8月9日
関西空港検疫所
パンデミック・インフルエンザ(H1N1)
流行状況について(21)

81日現在、世界の214以上の国と地域から18,449例以上の死亡例を含む新型インフルエンザの確定症例が報告されています。新型インフルエンザの活動性が非常に高いのは南アジアの一部と中南米熱帯地域の限られたエリアで、前回報告時から大きな変化は見られません。南アフリカを除き、南半球では引き続き大きな流行は見られていません(南アフリカでも冬のインフルエンザシーズンは峠を越した可能性があります)。中米、アフリカ東部、東南アジアの一部では、引き続き季節性インフルエンザ(とくにH3N2型)の流行が見られます。
 南半球におけるインフルエンザ症例は、南アフリカでは季節性インフルエンザが、チリ、ニュージーランド、オーストラリアでは新型インフルエンザが大半を占めています。
 アジアで新型インフルエンザの活動性が最も高いのはインドの一部で、インドほどではないまでもネパールやブータンの一部でも見られています。インド南部のケーララ州における流行は峠を越したと考えられますが、西部のマハラシュトラ州では比較的大きな流行が続いており、オリッサ州や西ベンガル州など東部のいくつかの州でも活動性が増している可能性があります。インドにおける新型インフルエンザの活動性は、昨年の流行期を上回っているとは考えにくいものの、データが限られていることもあり予断を許さない状況です。インドではここ数ヶ月、季節性インフルエンザの流行も見られています。
 アメリカ大陸の熱帯地域の一部では、季節性インフルエンザと新型インフルエンザの共流行が7月を通して見られました。6月初旬以降パナマ、ニカラグア、ホンジュラスでは主に季節性インフルエンザ(H3N2)が、エルサルバドルでは主に季節性インフルエンザ(B型、最近ではH3N2)が、コスタリカ、コロンビアでは新型インフルエンザと季節性インフルエンザ(H3N2)が流行しています。
 サハラ以南アフリカでは、ガーナにおいて新型インフルエンザの流行が続いています。アフリカ中部では季節性インフルエンザB型が、東部では季節性インフルエンザ(H3N2)が流行している可能性があります。例えば、カメルーンでは6月初旬以降、季節性インフルエンザB型の流行が続いていましたが、現在は終息したと考えられています。一方、ケニアでは4月下旬以降、活動性は低いながらも季節性インフルエンザ(H3N2)の流行が続いています。

(平成22年8月6日 WHO情報)