海外感染症情報 (No.88)
平成22年8月30日
関西空港検疫所
インフルエンザの流行状況について(3)

インドおよび南半球温帯地域(とくにニュージーランドと最近ではオーストラリア)の一部では、引き続きインフルエンザH1N12009)の流行が見られます。
 インドでは、5月下旬と6月に南部ケーララ州で始まった(モンスーンの始まりも同時期でした)インフルエンザH1N12009)の全国的な流行は、首都のみならず西部および南部のいくつかの州で局地的な流行が続いています。西部のマハーラーシュトラ州で最も多くの症例数(死亡例を含む)が報告されていますが、8月中旬に入り週毎の新規報告数の増加率は鈍化していると考えられ、流行が峠を越えた可能性があります。8月第3週に入り、他の多くの州、とくに西部や北部の州から少数ながら新規報告例が相次いでおり、活動性は低いものの流行の地理的広がりが示唆されています。7月下旬以降、検出されたインフルエンザウイルスの大部分がH1N12009)でした。
 ニュージーランドでは、8月第3週の時点で、インフルエンザ様疾患(ILI)での受診件数が4週連続で同時期の基準値を上回っていますが、増加率は鈍化してきており、数週先には流行がピークを迎える可能性があります。いくつかの地域(とくにホークス・ベイ、ハット・バレー、ロトルア湖周辺が最も顕著)では、ILIでの受診件数が昨冬のパンデミック期における全国レベルでのピーク値と同等か、それを上回っています現在の流行において検出されたインフルエンザウイルスの大部分がH1N12009)でした。
 オーストラリアでは、8月に入り2週間でインフルエンザの活動性が増加してきていますが、全国レベルでのILIによる受診件数は、依然として昨冬のパンデミック期よりも低い状態が続いています。最近検出されたインフルエンザウイルスの大部分がH1N12009)ですが、季節性H3N2も少数ながら検出されています。注目すべきは、H1N12009)に対する予防接種を受けていない人々のILIでの受診件数が、最近になって増加していることです。  

(平成22年8月27日 WHO情報)