海外感染症情報 (No.34)
平成23年4月22日
関西空港検疫所
ヨーロッパにおける麻疹(はしか)の流行状況

2011418日時点でヨーロッパ33か国において6,500名以上の麻疹患者が報告されています。疫学調査、遺伝子型検査によりウイルスの伝播がヨーロッパ数か国および南米にまで拡大していることが確認されました。
 ベルギーでは2010年の40名に対し今年は18日までに100名報告されています。
 ブルガリアでは2009年〜2010年で24,000名であったのに対し今年は131名報告されています。フランスでは今年1〜3月で4,937名報告されています(2010年は5,090名)。セルビアでは南東部のレスコヴァツからは300名近くの患者が報告されています。スペインでは201010月以降2度の流行が起こっており、アンダルシアで600名の患者が出ました。最初の流行で最も患者が多く出たのはセビリアおよびその周辺の自治体で、この地域では20111月以降350名の患者が報告されており、医療従事者の間でも麻疹患者が発生しています。2度目の流行はグラナダで発生しており、201010月以降250名の患者が発生している。マケドニア(旧ユーゴスラビア)では201010月に麻疹の流行が始まって以降、4月第1週時点で636名の患者が報告され、うち400名以上が2011年に診断されています。首都スコピエが最も流行が深刻です。トルコでは20111月以降80名以上の患者が発生したイスタンブールでの流行が報告されています。スペインの第2次流行とトルコでの流行を除いたすべての流行において麻疹ウイルスD4型が同定されました。スペインの第2次流行の患者からは麻疹ウイルスB3型が分離され、マレーシアやインドネシアなど東南アジア由来のD9型ウイルスが20111月にトルコのイスタンブールで流行を引き起こしたことが確認されました。
 さらに今年は、ドイツ・オランダ・ノルウェー・ルーマニア・ロシア・スイス・英国において麻疹が流行しており患者数が増加しています。旅行によって麻疹ウイルスに曝される危険性が増し、予防接種を受けていないと他の地域の住民へ感染しやすくなります。感染の拡大を防ぐため、WHOは保健当局に対し渡航前に予防接種を推奨し、国が定める予防接種スケジュールにしたがって予防接種を行うように呼びかけています。WHOは小児に対して2回、免疫状態が不安定な未成年および成人に対し海外渡航前に少なくとも1回の予防接種を推奨しています。 

(平成23年4月22日 WHO情報)