海外感染症情報 (NO.45)
平成23年6月14日
関西空港検疫所
チャドでの急性灰白髄炎(ポリオ)の流行状況について

チャドは、2011年に入ってもポリオウイルス野生株1型(65例)と野生株3型(3例)の流行に見舞われています。野生株3型の流行は200711月から続いており、同国は現在、野生株3型の再興感染国とみなされています。野生株1型の流行は輸入感染例として20109月にはじまり、当初は首都ヌジャメナに限局していましたが、現在は国境地帯を含む南部や東部にまで拡大しています。実際にはずっと多くの感染者が出ている可能性も否定できず、国境を越えて感染が拡大する危険は高いと考えられます。
 サウジアラビアは先月、ハッジ巡礼者に対しポリオワクチン接種を義務づける声明を出しました。世界保健機関(WHO)は、チャドからの渡航者、チャドへの渡航者いずれに対しても渡航前に確実にポリオの予防接種を完了しておくよう勧告します。 また、ポリオ清浄国では、チャドからの渡航者に対し、ポリオ予防接種の完了をビザ発行の条件とする動きが今後出てくる可能性もあります。

(平成23年6月10日 WHO情報)