海外感染症情報 (NO.93)
平成23年12月7日
関西空港検疫所
セネガルでの黄熱発生について
  

  

2011121日、セネガル保健省は、マリとギニアコナクリ(ギニア)との国境近くに位置するケドゥグおよびサラヤ保健地区で、3例の黄熱が確認されたことを世界保健機関(WHO)に報告しました。

1例目は黄熱ワクチン接種歴のない25歳女性で、発熱・頭痛・嘔吐で発症し、2011723日にケドゥグ陸軍保健部を受診しました。この症例は、デング熱およびチクングニア熱監視事業の一環として検知され、WHOの黄熱研究機関であるダカールのパスツール研究所で、ELISA(酵素抗体法)IgMおよびPRNT(プラーク減少中和試験)によって、20111010日に黄熱であると確定診断されました。

他の2例は、29歳女性と3歳男児で、2011810日と11日に報告されており、3例とも完治しています。201188日から29日にかけて、ケドゥグおよびサラヤ地区における流行状況を調査したところ、疑い症例や接触者として計76人が同定されました(10死亡例を含む)。検査ではこれらの76人については最近の黄熱感染は確認されませんでしたが、うち20人はIgG陽性で、以前に黄熱ウイルスの曝露をうけた、あるいは黄熱ワクチンを接種したことが示唆されました。

ケドゥグおよびサラヤ保健地区は、200712月に集団ワクチン接種キャンペーンが展開されており、接種率はそれぞれ94.9%と94.8%でした。

セネガル保健省は、201112月中旬にケドゥグ、サラヤおよびサレマタ保健地区において、妊婦を除く生後9ヶ月以上のワクチン未接種者を対象に、ワクチン接種キャンペーンを行う予定です。集団ワクチン接種キャンペーンは、近隣国からの移民により増加していると予想される当該地域の感染を受けやすい住民を感染から守ることを目的としています。このキャンペーンに向けて、YF-ICG(黄熱ワクチン供給のための国際調整グループ)によって計159,626本の黄熱ワクチンがGAVI(ワクチン予防接種世界同盟)の備蓄から譲渡されました。

(2011年12月1日WHO報告)