海外感染症情報 (NO.32)
平成24年5月25日
関西空港検疫所
     アフリカ髄膜炎ベルトにおける状況


本年11日から417日(第17週)までの間に、アフリカの髄膜炎ベルト地帯の14ヶ国注)のうち10ヶ国、42の地域で髄膜炎のアウトブレイクが報告されています。サーベイランスを強化したことでアウトブレイクが確認されました。

これら10ヶ国(ベナン、ブルキナファソ、チャド、中央アフリカ共和国、コートジボアール、ガンビア、ガーナ、マリ、ナイジェリア、スーダン)では11,647名の髄膜炎患者が報告されており、死者は960名で致命率は8.2%となっています。今回のアウトブレイクは主に髄膜炎菌の血清型W135により引き起こされています。 

今回のアウトブレイクに対して各国の保健省は、疾病予防および流行対策として、サーベイランスの強化、患者の治療、人々への疾病に対する認識強化、多国間の協力強化、流行性髄膜炎に対するワクチン供給の国際調整グループICG)によるワクチンの供給等を講じています。

ICGは、セフェム系抗菌薬11,000バイアルおよび1,665,673回分のワクチンを、要求に応じて流行の深刻な6ヶ国(下記表)に提供しました。供給されたワクチンの内訳は、919,023回分のACW/ACYW多糖体ワクチン、746,650回分の髄膜炎菌Aワクチン、81,418回分のAC多糖体ワクチンとなっています。

ICGは、将来の流行時への十分な対処に備えて、十分量のワクチンが備蓄できるよう、製造会社や世界保健機関(WHO)、国際赤十字機関(IFRC)、ユニセフ、国境なき医師団(MSF)といった国際機関と協力しています。

 ワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVI)の支援により、緊急時のワクチンが備蓄されています。またMSF、ユニセフ、IFRC欧州共同体人道援助局(ECHO)、国連といった機関の支援により、予防接種キャンペーンが行われました。

WHOは関連機関、当該国の保健省とともに流行状況の監視を続けています。

国名 髄膜炎疑い症例 死者数 死亡率(%) 優勢病原体 流行地域数
ベナン 758 71 9.4 NmW135 6
ブルキナファソ 5,300 553 10.4 NmW135 13
チャド 2,828 135 NmA 12
コートジボワール 399 49 12.3 NmW135 1
ガーナ 569 56 9.8 NmW135 4
スーダン 275 13 4.7 NmA  1

(注)監視強化を行ったアフリカ髄膜炎ベルトの14カ国とは、ベナン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、コートジボワール、コンゴ共和国、エチオピア、ガーナ、マリ、ニジェール、ナイジェリア、スーダン、トーゴである。

(2012年5月24日WHO報告)