海外感染症情報 (NO.41)
平成24年7月9日
関西空港検疫所

カンボジアにおける診断未確定の疾病(2)



201276日、カンボジア保健省は、同国の子どもの間で発生した死亡例を伴う診断未確定の疾患について、積極的に調査を実施中です。

これまでの予備的な調査結果では、今年の4月~75日の間に入院した74例のうち57例(うち56例は死亡)で、発熱及び今回の調査の焦点となっている呼吸器、神経症状を共通して呈していました。

これまで確認された症例の多くは3歳以下で、多くは同国の中部、南部の居住者であり、カンタボバ小児病院で治療をうけています。あらゆる治療のこころみにもかかわらず、多くの罹患児は24時間以内に死亡しています。カンボジアのパスツール研究所で利用可能な検体が検査されました。原因となる病原体は正式には今後決定されることと思われますが、これまでのところどの検体からもH5N1を含めていずれのインフルエンザウイルスも、またSARSウイルスやニパウイルスも検出されていません。保健省は、ほとんどの症例が入院しているプノンペンにあるカンタボバ小児病院に、この事実を警告しました。また同省は国際保健規則がとりきめている「正式に同定されていない病原体、疾患、感染経路に基づく出来事は通報する」という規約にのっとり、世界保健機関(WHO)に報告しました。WHO及び関係機関は保健省に対して、特に入院した症例、早期警告のためのサーベイランス、検査データ、フィールド調査などの点で、援助を実施しています。

今回の出来事に対し、積極的に調査を実施すると共に、政府はデング熱、手足口病、チクングニヤ熱などの国内に見られる他の疾患にも注意をはらっています。

保護者には、自分の子どもに普段と異なる疾病の兆しがあれば病院を受診させるように忠告をしており、国民には頻回の手洗いを含めて良好な衛生活動を実践するよう強調しています。

(2012年7月6日WHO報告)