海外感染症情報 (NO.45)
平成24年7月17日
関西空港検疫所

カンボジアにおける診断未確定の疾病(4)



713日、カンボジアにおける、主に乳幼児に感染する疾病と死亡例についての調査によりますと、同国保健省に報告のあった症例のほとんどが手足口病の重症型が原因であると結論づけられました。合計31名の患者から検体が採取され、カンボジアパスツール研究所で病原微生物が検索されました。検体のほとんどが手足口病の原因となるエンテロウィルス71型(EV-71)が陽性で、少数の検体ではヘモフィルスインフルエンザB型菌とブタ連鎖球菌が陽性でした。検体が採取される前に死亡した患者もいることから、全ての患者で検査ができたというわけではないようです。調査内容は、Kantha Bhopa病院をはじめ他の病院からカルテ記録を確認すること、検体検査、地域対策チームによる感染家族のフォローアップ、国家サーベイランスシステムで得られたデータの評価です。これまでに78例の患者が確認されており、このうち62例がKantha Bhopa病院からの報告です。症例定義に合致する61例(そのうち54例が死亡)に重点をおいて調査がすすめられています。調査によればほとんどの症例が3歳以下で、14州から報告があり、慢性的な症状で苦しんでいた症例も含まれているとのことです。多くの患者が、ある時点においてステロイド治療を受けたようですが、ステロイド治療により状態が悪化しています。保健省はWHOなどから支援を受けて、本年4月以後に入院した小児の疾病・死亡例についてのKantha Bhopa病院からの報告を調査しています。この事態への反応として、保健省は保健センターに対し手足口病の患者を全て報告するように求めています。さらに保健省はWHOの支持を受けて、EV-71型による手足口病の重症型で見られる重要な症候群である「神経-呼吸器系症候群」についての調査を強化しています。調査の強化により、来月以降も重症型の新規患者の発見につながることが期待されています。さらに保健省は手足口病の中等症から重症の患者に対応するスタッフのガイドラインやトレーニングコースの開発、小児の手足口病の予防、発見、ケアに対する啓発活動を実施しています。

(2012年7月13日WHO報告)