海外感染症情報 (NO.81)
平成24年10月1日
関西空港検疫所
英国で新型のコロナウイルス感染が確認(4)
 2012年9月29日現在、世界保健機関(WHO)は状況監視を継続しています。新型コロナウイルスの追加の確定例の報告やヒト-ヒト感染の証拠はこれまでのところありません。
不必要な検査によって医療システムに負担をかけることなく、ウイルスに感染している可能性のある患者を適切かつ効果的に特定し調査するために、WHOは改訂版の暫定的症例定義を配信しました。この症例定義は、2人の確定例のデータをもとに作られており、そのため、それなりに個々の症例を確定するに当たってはある程度臨床的な判断が必要とされることに注意すべきです。
WHOは2人の確定診断例において新型コロナウイルスの存在が確定されるのに責任のあった研究所と密接に協力しています。これらの研究室は、他の施設にも提供できるような診断試薬やプロトコールの開発のために働いており、現在利用可能です。WHOは現在、この新型ウイルスの検出と確認するという技術で加盟国を援助できるような研究所の数を増やそうとしています。WHOは診断を助けるために、世界の多くの公的保健施設から支援の申し出を受け入れています。このウイルスの完全な塩基配列はジェンバンク(Genbank: 米国生物工学情報センターが提供している、塩基配列データを蓄積・提供している世界的な公共の塩基配列データベース)にアップロードされ、診断プロトコールとして実用化されたリアルタイムPCR法が公表されています。
WHOは今回の件に関連して、入国に際しての特別なスクリーニングは勧告しておらず、また、いかなる渡航や交易の制限の適応も推奨していません。
WHOは国際保健規則(IHR)2005に基づき、引き続き、指定国内拠点を通じて加盟国に対する情報提供を行っています。