海外感染症情報 (NO.82)
平成24年10月1日
関西空港検疫所
英国で新型のコロナウイルス感染が確認(5)
新型コロナウイルスー暫定症例定義-改訂版  2012年9月29日時点

 以下の症例定義は、不必要な検査によって医療システムに負担をかけることなく、ウイルスに感染している可能性のある患者を適切かつ効果的に特定し調査するためのものです。この症例定義は2人の確定例のデータをもとに作られており、そのため、それなりに個々の症例を確定するに当たってはある程度臨床的な判断が必要とされることに注意すべきです。

要観察例(「経過観察中」と呼ばれるもの)
発熱(38℃以上)および咳を含む急性呼吸器感染症状を認める患者で、
かつ
 ● 臨床的あるいはX線上肺浸潤影に基づく肺実質性疾患(例えば肺炎あるいは急性呼吸促迫症候群)の疑いがあり、
かつ
  ● 最近、新型コロナウイルスによる感染が報告された、または新型コロナウイルスの伝播が起こる可能性のある地域(※1)への渡航歴あるいは居住歴があり、
かつ
地方の疾病管理指針に基づいた市中肺炎用の全検査を含む、他のいかなる感染症や病因でも説明がつかない患者

※1 現在のところ、これらの地域に含まれるのはカタールとサウジアラビアのみ
濃厚接触者の管理
 可能性例あるいは確定例の患者に症状が認められる期間に、それらの患者と濃厚接触(※2)した人は全員、呼吸器症状が出現してこないかどうか、注意深い観察下に置かれることになります。もしも、接触に続く最初の10日間に症状が発現した場合は、同接触者は、症状の程度にかかわらず「要観察例」として経過観察されることになります。

死亡例の病理組織学的検査を含む検査結果が、検体採取前に患者が死亡したこと等により得られない場合、患者は以下に定義する「可能性例」と定義されることになります。
※2 濃厚接触者には以下の者が含まれる。
患者の世話をした医療関係者や家族、あるいは他に同様な濃厚接触をした者
可能性例あるいは確定例の患者が症状があった時期に、同じ場所に滞在(ともに居住または訪問)していた者
報告すべき「可能性例」及び「確定例」
WHOは、国際保健規則に基づく各WHO地域事務局の連絡窓口を通して、疑い例と確定例を24時間以内に報告するように要請しています。
  「可能性例」
臨床的、X線上、あるいは病理組織学的に肺実質性疾患(例えば肺炎あるいは急性呼吸促迫症候群)を伴い、上記の「要観察例」の定義にあてはまるが、患者からの検体採取ができず、あるいは他の呼吸器感染症を疑う検査ができないため検査学的に診断確定できず、
かつ
検査学的に診断が確定された患者と濃厚接触があり
かつ
地方の疾病管理指針に基づいた市中肺炎用の全検査を含む、他のいかなる感染症や病因でも説明がつかない者
  「確定例」
新型コロナウイルスによる感染と検査学的に確定された者
(2012年9月29日 WHO報告)