海外感染症情報 (NO.145)
平成25年10月25日
関西空港検疫所
中東呼吸器症候群コロナウイルス感染確定例報告(50)
 2013年10月18・19日に、サウジアラビアから世界保健機関(WHO)に対し、中東呼吸症候群コロナウイルス(MERS-CoV)の新たな感染確定例2人と、9月18日の3人の感染確定例が報告されました。

 5人の確定患者のうち2人は死亡しています。5人の患者の年齢は35~83歳で、4人が男性、1人が女性です。2人はメジナ出身で、3人はリヤド出身です。4人の患者には基礎疾患がありました。2人の患者については発症前に確定患者や動物との接触はなかったと報告されています。

 2012年9月から現在までに、WHOには世界中で144人の確定診断例が報告されており、このうち62人が死亡しています。

 これまでに報告された患者は発症初期に呼吸器症状がありました。下痢は患者に共通してみられ、ショックを伴う腎不全や急性呼吸促迫症候群(ARDS)が重篤な合併症として報告されています。重度の免疫不全患者では非典型的な症状を呈する可能性があります。

 WHOは今回の報告に際し、入国時の特別なスクリーニングの実施や、いかなる渡航・交易の制限をも推奨していません。
(2013年10月24日 WHO報告)