海外感染症情報(NO.162)

平成25年11月22日
関西空港検疫所

カメルーンにおけるポリオの報告

11月21日、カメルーンで野生株ポリオウイルス1型(WPV1)が検出されました。2009年以来、最初の野生株ポリオウイルスの検出です。野生株ポリオウイルスは、西部地域で発生した急性弛緩性麻痺(AFP)の2症例から分離されました。二人の患者は、10月1日と19日に麻痺を発症しました。遺伝子配列より、これらのウイルスは2011年にチャドで検出された野生株ポリオウイルスと相関していました。

 少なくとも3回の全国予防接種日(NIDs)を含めた緊急対応計画がとりまとめられ、初回は、10月25日~10月27日に実施されました。また、12月には地域別予防接種日(SNIDs)が設定され、さらに、2014年の1月と2月に全国予防接種日が2回設定されています。経口ポリオワクチン(OPV3)による定期予防接種の接種率は約85.3%でした。近隣諸国、特にチャドとアフリカ共和国でも対応が計画されています。

 この地域でウイルスが最後に検出されたのが2011年であったことを考慮して、計画では、地域の差をより明確にするための地域レベルのサーベイランスの感度の詳細な分析を手始めに、サーベイランス活動の強化が進められています。

 2013年に、カメルーンの極北地域において、循環型ワクチン由来ポリオウイルスⅡ型(cVDPV2)の患者も4人報告されました。患者は、5月9日から8月12日の間に麻痺を発症しました。ウイルスは、チャドで循環しているウイルスと相関しており、ナイジェリアとニジェールでも検出されました。この事例に対応して、大規模・補足的予防接種活動(SIAs)が8月から9月にかけて数回実施され、その後全国予防接種日が10月に設定されていました。

 この事例により、撲滅しようとしている病原体(野生株ポリオウイルス)が、国際的に拡がっているリスクが確認されました。過去に、ナイジェリアから西部・中部アフリカにポリオが国際的な拡がりをみせた歴史や、地域サーベイランスの差があるため、WHOはこの地域でさらにポリオが国際的に拡がるリスクが高いと考えています。

 全ての国(特に、ポリオウイルス感染が起こっている国や地域と頻繁に往来がある国)において、新たなポリオウイルスの輸入を迅速に検出して速やかに対応するための、AFPに対するサーベイランスの強化が重要です。また、国・地域では、新たなウイルスの輸入を最小限にするために、地区レベルにおける定期の予防接種の接種率を一律に高い水準に保つべきです。

2013年11月21日 (WHO報告)