海外感染症情報 (NO.53)
平成25年5月14日
関西空港検疫所
新型コロナウイルス感染確定例報告(14)
 2013年5月12日、フランスの社会保健省は世界保健機構(WHO)に対し、新たに1人の新型コロナウイルス(nCoV)のヒト感染確定例を報告しました。

 この患者は5月7日に確定診断された患者について、フランス当局が行った疫学調査の一環で見つかりました。患者は4月27日から29日まで、バランシエンヌの病院の同じ病室で、最初の確定例の患者とともに入院していました。現在、患者は感染症専門病院に入院し、隔離されています。

 フランス国内で最初の確定例と接触が確認された120人のうち、パリのパスツール研究所で5人が疑い例として検査され、4人が陰性、1人(上記の人)が陽性でした。

 サウジアラビアでは、ある医療機関内での流行の調査が進められており、これまでに同医療機関で15人の患者が確認されており、このうち7人が死亡しています。

 2012年9月から現在まで、WHOには全世界で34人の新型コロナウイルスのヒト感染確定例の報告があり、うち18人が死亡しています。

 現在の状況と利用可能な情報に基づいて、WHOはすべての加盟国へ、重症急性呼吸器感染症(SARI)の監視強化を継続し、通常でないパターンの症例を慎重に検討するよう推奨しています。

 医療提供者は、最近、ウイルス感染の発生した地域からの帰国者で、SARIが発生していないか注意深く警戒するよう推奨しています。可能であれば、診断のために患者の下気道からの検体を採取すべきです。

 WHOは全ての加盟国に対し、nCoVの新たな感染者が発生した際には、考えられる感染源と臨床経過の情報を合わせて、速やかに評価して報告するよう呼びかけています。
 WHOは、この事例に関して入国時の特別なスクリーニングおよび渡航や貿易を制限することを推奨していません。
 WHOは引き続き状況を注視し、現状を密に監視しています。
(2013年5月12日 WHO報告)