海外感染症情報 (NO.54)
平成25年5月14日
関西空港検疫所
ソマリアでの野生ポリオウイルス
 2013年5月11日付で世界保健機関(WHO)から公表された情報によりますと、ソマリアのバナディール州で野生株ポリオウイルス1型が検出されたとされる暫定報告を受け、調査が行われました。ソマリアで同ウイルスが検出されたのは、2007年3月25日以降、初めてのことです。4月18日に急性麻痺症状で発症した32ヶ月の女児及び、女児と密接な接触のあった3人から、21日に採取した検体から同ウイルスが分離されました。

 現地に調査チームが設置され、ウイルスの感染源を確認するために、遺伝子の塩基配列を調査しています。これらの調査の暫定結果はできるだけ早く発表される予定です。

 ソマリアの中部と南部の多くの地域で2009年以来、予防接種活動を行っていないことを考えると、同ウイルス循環の確認は、公衆衛生への深刻で国内および国際的な危険性となりえるでしょう。

 すべての医療施設における、急性弛緩性麻痺(AFP)とポリオの疑い例の追加症例緊急調査の必要性を強調するために、監視警報が、ソマリア及び同国と国境を接するケニア北部とエチオピア東部に発せられました。WHOアフリカ地域及び東地中海地域にある全ての加盟国に対し、ポリオウイルスへの監視強化が勧告されています。

 迅速な予防接種対応として、5月14日から16日にかけて、バナディール州の16の地域で5歳以下の子ども35万人以上を対象に、経口ポリオワクチン(OPV)接種が行われる予定です。またソマリア全域を対象とした経口ポリオワクチン接種も含め、更なる対応について議論が進められています。

 WHOはポリオ患者が発生している国からの渡航者や、患者が発生している国への渡航者に対し、既定回数のポリオに対する予防接種を受けることを推奨しています。
(2013年5月11日 WHO報告)