海外感染症情報
(NO.56) |
平成25年5月16日
関西空港検疫所 |
新型コロナウイルス感染確定例報告(16) |
2013年5月15日、サウジアラビア保健省は、世界保健機構(WHO)に対して、新たに2人の新型コロナウイルスヒト感染確定例を報告しました。 2人は新型コロナウイルスヒト感染患者と接触のあった医療従事者です。 ・1人目の患者は5月2日に発症した45歳男性で、現在重篤な状態です。 ・2人目の患者は5月8日に発症した元来健康な43歳女性で、状態は安定しています。 2012年4月にヨルダンで医療施設関連での感染例が報告されましたが、患者との接触後に新型コロナウイルス感染症と診断された医療従事者への感染例は今回が初めてです。新型コロナウイルス感染症疑い患者が入院している医療施設では、他の患者や医療従事者への感染リスクを減らすために適切な対策をとるべきです。感染予防・制御の系統的な実施の重要性を再確認するべきです。 5月初めから現在まで、9人の死亡者を含む計21人の患者は、流行が主として発生しているサウジアラビア東部の医療施設から報告されており、政府は、この流行の調査を続けています。 2012年9月から現在まで、WHOには全世界で40人の新型コロナウイルスヒト感染確定例の報告があり、うち6ヶ国で20人が死亡しています。(フランス、ドイツ、ヨルダン、カタール、サウジアラビア、英国) 現在の状況と利用可能な情報に基づいて、WHOは全ての加盟国へ、重症急性呼吸器感染症(SARI)の監視強化を継続し、通常でないパターンの症例を慎重に検討するよう推奨しています。 医療従事者は、最近、ウイルス感染の発症した地域からの帰国で、SARIが発生していないか注意深く警戒するよう推奨しています。可能であれば、診断のために患者の下気道からの検体を採取すべきです。 WHOは全ての加盟国に対し、nCoVの新たな感染者が発生した際には、考えられる感染源と臨床経過の情報を合わせて、速やかに評価して報告するよう呼びかけています。 WHOは、この事例に関して入国時の特別なスクリーニングおよび渡航や貿易を制限する事を推奨していません。 WHOは引き続き状況を注視し、現状を密に監視しています。 |
(2013年5月15日 WHO報告) |