海外感染症情報 (NO.61)
平成25年5月23日
関西空港検疫所
新型コロナウイルス感染確定例報告(18)
 2013年5月22日、チュニジア保健省は、世界保健機構(WHO)に対して、2人の新型コロナウイルス(nCoV)ヒト感染確定例と1人の疑い例を報告しました。

 2人の感染確定例は、34歳の男性と35歳の女性で、姉弟です。2人は軽度の呼吸症状で入院を必要としませんでした。疑い例は2人の父親で、5月3日にカタールとサウジアラビアへの渡航から帰国し、その3日後に発症していたことが感染確定例の遡及調査より明らかとなりました。父親は、基礎疾患があり、急性呼吸器症状を発症した後に入院しましたが、容態が悪化して5月10日に死亡しました。初期の臨床検査では、新型コロナウイルスは陰性でした。

 この発生の詳しい調査は進行中であり、家族の濃厚接触者は異常な徴候が出現してこないか監視されています。これらはチュニジアにおける最初の新型コロナウイルス感染確定例です。

 サウジアラビアでは、今年の4月初めからある医療施設で始まった集団感染の調査が進められている中で、以前に報告された患者1人が死亡しました。これまで、今回のサウジアラビア東部における集団感染で、10人の死者を含む計22人が報告されています。政府は、この集団感染の調査を継続しています。

 世界的に見ると、2012年9月から現在までに、WHOには全世界で43人の新型コロナウイルスヒト感染確定例の報告があり、うち21人が死亡しています。中東のヨルダン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)で感染が確認されています。また、フランス、ドイツ、チュニジア、イギリスの4か国からも患者が報告されています。

 WHOは、今回の発生に関して、入国時の特別なスクリーニング及び渡航や交易を制限することを推奨していません。

 WHOは、引き続き状況を注視し、現状を密に監視しています。
(2013年5月22日 WHO報告)