海外感染症情報
(NO.63) |
平成25年5月24日
関西空港検疫所 |
新型コロナウイルス(中東呼吸器症候群コロナウイルス)感染確定例報告 (19) |
2013年5月23日、サウジアラビア保健省は、世界保健機構(WHO)に対して、1人の中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)ヒト感染確定例を報告しました。 サウジアラビアの中央部に位置するカシーム州で死亡例が報告されました。この症例は東部のアル アサハ地域で報告された集団感染とは関係していません。患者は基礎疾患を持つ63歳の男性で、5月15日に急性の呼吸窮迫症状で入院し、5月20日に死亡しました。この患者の接触者の調査は進行中です。 また、サウジアラビア保健省は、今年の4月から始まったアル アサハ地域におけるある医療施設の集団感染について、調査を継続しています。これまで、この集団感染において、10人の死者を含む計22人の患者が報告されています。 世界的に見ると、2012年9月から現在までに、WHOには44人のMERS-CoV感染の検査確定例の報告があり、うち22人が死亡しています。 WHOは、中東のヨルダン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)から検査確定例が報告されています。また、フランス、ドイツ、チュニジア、イギリスからも検査確定例が報告されており、患者はいずれも、入院中の感染もしくは中東への渡航歴のいずれかがあり、その後に発症しました。フランス、チュニジア、イギリスでは、中東への渡航歴はないものの、検査確定例もしくは疑い例との濃厚接触者の中で、限定的な地域内感染がありました。 医療従事者に対して、警戒を維持することを提言しています。また、最近、中東から帰国してSARIを確認した旅行者においては、現在の監視強化の推奨に基づいて、MERS-CoVの検査を実施するべきです。 WHOは、今回の発生に関して、入国時の特別なスクリーニング及び渡航や交易を制限することを推奨していません。 WHOは、引き続き状況を注視し、現状を密に監視しています。 備考:この疾患について統一して情報提供を容易にするために、ウイルス分類に関する国際委員会のコロナウイルス研究グループは、新型コロナウイルスの新しい名称として、5月15日に中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)を発表しました。 |
(2013年5月23日 WHO報告) |