(No.59)

ギニアでのエボラ出血熱の集団発生(1)

 
ギニアの保健省(MOH)は世界保健機関(WHO)に対し、南東部ギニアの森林地帯でエボラ出血熱が急速に集団発生したことを報告しました。3月22日時点で49人が発症し、うち29人が死亡した(致死率59%)と報告されています。患者は、ンゼレコレ州のゲケドゥ県、マサンタ県、ンゼレコレ県と、ファラナ州のキシドゥーグー県で報告されています。さらにコナクリで2人の死者を含む3人の疑い例が調査中です。犠牲者の中には4人の医療従事者がいました。リベリアやシエラレオネとの国境地域での疑い例は現在調査中です。
フランスのリヨンにあるパスツール研究所でテストされた7つの血液検体のうち6つが、PCR検査によりエボラウイルス陽性で、ギニアでのエボラ出血熱の集団発生の最初の確定例でした。L遺伝子の一部を解析した暫定的な結果によりますと、ザイール型と配列類似性が高いことが示されました。結果を確認するために追加の検査が進められています。
保健省とWHOとその他の関係機関は集団発生をコントロールし、これ以上拡がるのを防ぐための対策を取り始めました。保健省は、国や県レベルで、緊急事態を管理する委員会を立ち上げました。また、保健省は一般市民に対して、感染拡大を防止するための対策をとり、いかなる疑い患者もすべて報告するように助言しています。
積極的な調査や管理を行い、接触者の追跡調査や経過観察、地域での集団発生を防ぎ、コントロールするため、集学的なチームが現地に配置されています。スイスの国境なき医師団(MSF-CH)は、患者が発生した地域で活動し、隔離施設を作ることを支援しています。また、疑い例や接触者の生物学的検体を国際的な検査機関で緊急検査するために運搬する支援も行っています。
危険な新興感染症の病原体を検査するためのネットワーク(Emerging and Dangerous Pathogens Laboratory Network)はギニア、シエラレオネで適切なフィロウイルスの診断能力を確保するために、ギニアのドンカにあるウイルス性出血熱の検査施設、リヨンのパスツール研究所、ダカールのパスツール研究所、シエラレオネのケネマにあるラッサ熱の検査施設と共に活動しています。
WHOとその他の関係機関は省庁への支援を提供するために、さらに専門家を動員し、配置しています。患者の管理を支援するために必要な物資や資源が要求され、集団発生の制御のために必要な物すべてが動員されています。
状況は急速に進展し、報告された数字が変わる可能性が高いです。
WHOは、この事例に関して、ギニアへの渡航や貿易を制限することを推奨していません。