(No.93)

西アフリカにおけるエボラ出血熱の集団発生(6)  平成26年4月18日更新

(ギニア・マリ・リベリア・シエラレオネ)

4月17日の世界保健機関(WHO)の更新情報です。
ギニア
 ギニア保健省は、4月16日18:00の時点で、122人の死亡者を含む累計197例の臨床的にエボラウイルス病(EVD)として矛盾しない事例を報告しています。現在までに、56人の死亡者を含む101例が診断確定例、33人の死亡者を含む43例がエボラウイルス病(EVD)の症例定義を満たしている可能性例、33人の死亡者を含む53例が疑い例に分類されています。24人の医療従事者(HCW)がエボラウイルスに感染して、13人が死亡しています。臨床的にEVDとして矛盾しない事例は、コナクリで47例(うち死亡者16人)、ゲケドゥ県で117例(うち死亡者80人)、マセンタ県で22例(うち死亡者16人)、キシドゥーグー県で6例(うち死亡者5人)、ダボラ県で4例(うち死亡者4人)、ダンギレ県で1例(うち死亡者1人)が報告されています。

 3日前に死亡した医療従事者の接触者を含めて、感染を受けたすべての地域における接触者の追跡活動は続いています。コナクリでは、60のコミュニティボランティアが、医療監視下にある221人の接触者の追跡調査について、保健省と関係者を支援しています。症状を呈した7人の接触者は、予防措置として隔離されています。ゲケドゥ県で249人、マセンタ県で54人、キシドゥーグー県で17人、ダボラ県で63人、ダンギレ県で2人の接触者が経過観察されています。

 現在、コナクリで23人、ゲケドゥ県で12人、マセンタ県で1人の合計36人の患者が隔離されています。WHO、地球規模の感染症に対する警戒と対応ネットワーク(GOARN)、国境なき医師団(MSF)の医療チームは、患者のトリアージと症例管理、感染予防・制御(IPC)を補強するために、ドンカ病院で医療従事者を支援しています。遺体安置所で働く職員や患者を担架で運ぶ運転手や職員に対して、EVDの患者と死亡者を安全に取り扱うための訓練が、ドンカ病院のIPCチームと物流チームの共同により実施されました。コナクリのサンテ・ドにある全20ヶ所の研究所の職員に対する訓練活動は、4月17日に計画されています。IPC訓練も2地域の保健センターで明日予定されています。

 症例数や接触者数は予備的であり、監視活動の強化や接触者の積極的な追跡調査、研究所における継続中の検査結果、等の集計により発生数は変化する場合があります。
マリ
 4月16日、マリ保健省は、疑い例6例の臨床検体が検査でエボラウイルス陰性が確認されたことを報告しました。

 検体は、WHOのアルボウイルスとウイルス性出血熱の共同研究所である、セネガルのダカールにあるパスツール研究所で検査されました。検体は、バマコの大学にHIVや結核の研修や研究のために新しく設立されセキュリティの高いSEREFO研究所において、リアルタイムPCR法を用いて検査されました。SEREFO研究所、国立保健医療科学院(INRSP)、d'Appui à la lutte国立センター(CNAM)、国立輸血センター(CNTS)、大学の医科歯科学部、科学学部、技術テクノロジー学部(FMOS)が、米国国立衛生研究所(NIH)の職員によってエボラウイルス診断を訓練されました。

 4月16日の時点で、マリで新たな疑い例は報告されていません。

 継続している準備・対策活動には、医療従事者や広範なコミュニティ間のEVDに関する意識を高め、個人やコミュニティのリスク低減戦略を強化することが含まれています。医療施設内における感染予防・制御の措置を厳格に遵守する必要性は、現在も重要な介在とされています。

 WHOは、EVDに対する国境を越えた会議の計画において、マリ、ギニア、コートジボワールの国家保健当局を支援しています。保健省を支援している対策関係者には、WHO、米国疾病管理予防センター(CDC)、MSF、欧州委員会人道援助局(ECHO)、フランス開発庁(AFD)、国際協力機構(JICA)、NIH、国際連合児童権利・緊急援助機関(UNICEF)が含まれています。
リベリア
 リベリア保健・社会福祉省(MOHSW)は、4月16日の時点で、13人の死亡者を含む累計27例の臨床的にEVDとして矛盾しない事例を報告しています。15日にニンバ郡で報告された新しい疑い例は、ラッサ熱の症例として診断が確定しています。2人の患者が入院中で、33人の接触者が現在も医療監視下にあります。MOHSWは、4月16日にメタビオタと共同して、エボラウイルスの新しい研究所を委託しました。

 MOHSWは、WHOやリベリアのGOARNチームと共同して、モンロビアのジョン・F・ケネディ医療センターとモンセラード郡ニュークルタウンのリデンプション病院を訪問して、患者管理、トリアージと感染予防・制御の最初の訓練を実施しました。
シエラレオネ
 4月15日、保健衛生省(MOHS)は、3月19日から実施していた監視活動の集計報告を提供しました。その期間中に、合計12例の疑い例が確認されています。以前に報告されたEVDによる死亡が疑われている2人は、ギニアで死亡してシエラレオネで埋葬するために遺体を送還された家族から発生しました。15人の接触者は全員、21日間の医療監視を終え、現在も健康です。ケネマ政府病院のラッサ熱隔離施設で働いているメタビオタ研究所チームは、11例の疑い例からの臨床検体について、2つのリアルタイムPCR法のプロトコールを用いて、ザイールエボラウイルスや他のウイルス性出血熱、重要な風土病の病原体を検査しました。すべての検体で、エボラウイルスや他の病原体は陰性でした。

 シエラレオネでは、EVD症例の疑い例や活動例を発見するための追跡調査が続いています。メタビオタは保健衛生省と共同して、13地区にある主な紹介先となる政府、民間、拠点病院の75人の臨床医や看護師に対して、ケネマのラッサ熱施設で研修を実施しています。マルチメディアコミュニティの感受化活動も継続しています。

 WHOは、この事例に関して、ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネへの渡航や貿易を制限することを推奨していません。