(No.102)

西アフリカにおけるエボラ出血熱の集団発生(9) 平成26年4月28日更新

ギニア
 4月23日18時時点で、ギニアの保健省(MOH)は累計218例のエボラ出血熱(エボラウイルス病:EVD)、うち141人が死亡したことを報告しました。現時点で、191例がエボラウイルスについて検査中で、115例が診断確定例、うち72例が死亡しています。さらに、42例(うち34例が死亡)がEVDの定義に沿った可能性例で、61例(うち35例が死亡)が疑い例として分類されています。26例の医療従事者(HCW)が感染(18例が診断確定例)、うち16例(12例が診断確定例)が死亡しています。

 コナクリからEVDの臨床症例は58例、うち24例が死亡と報告され、ゲケトゥは127例、うち91例が死亡、マセンタは22例、うち16例が死亡(増なし)、キシドーグーは6例、うち5例が死亡(増なし)、ダボラは4例、うち4例が死亡(増なし)、ディンギラエ1例、うち1例が死亡(増なし)との報告です。コナクリから診断確定例は37例、うち19例が死亡(増なし)、ゲケトゥは63例、うち41例が死亡、マセンタは13例、うち10例が死亡(増なし)、キシドーグーは1例、うち1例が死亡(増なし)、ダボラは1例、うち1例(増なし)が死亡との報告です。ほとんどの可能性例および疑い例は4月23日に発症し、最も最近の確定例は4月22日に隔離されています。既存症例から新たに2例が死亡、うち1例はEVD確定例でした。現在、13例の患者が隔離されており、詳細はコナクリで6例(確定例5例)、ゲケトゥで7例(全て確定例)です。全地域で追跡調査が継続中です。

 この数週間で、全体的にギニアでの流行は大幅に改善しています。マセンタから最後に報告があったのは24日前、同様にダボラで25日前、キシドーグーで26日前、ディンギラエで31日前でした。潜伏期間の二倍の42日間、発症が無い事は、特定地域におけるEVD流行の終息を確定する基準となります。
活動の焦点は、臨床症例管理、院内感染予防管理(IPC)の継続的な訓練を含みます。記録は、ゲゲドゥの国境なき医師団(MSF)の隔離施設で作成されます。世界保健機関(WHO)は地球規模感染症に対する警戒と対応ネットワーク(GOARN)と協力して、コナクリのドンカ病院の医師の援助の元、IPCと集中治療医から成る新しい医療チームを動員しているところです。

 症例数や接触者数は、サーベイランスや接触者追跡調査が強化され、検査が継続されることで症例や、接触者、検査データが統合されるにつれて、更新訂正される可能性があります。アトランタの米国疾病予防管理センター(CDC)のスタッフが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)陰性例の検査検体を再検査してEVDの診断能力を向上させることを目的に、ギニアに到着しています。

 ギニア政府主催のギニア・リベリア両政府間によるEVD会議に、両国代表団25名が参加しました。会議の目的は、サーベイランスの強化とEVDの伝播を止めるために両国国境で接触者のフォローをすることです。活動のポイントは、EVDに対する国境を越えた行動計画、地元当局担当者との国境を越えた活動の調整強化、EVD疑い患者の国境を越えた移動の情報共有、EVDのコミュニティー意識の向上、個人やコミュニティーにおける疾患リスク減少の方法、必要に応じた活動サーベイランスと接触者追跡調査の強化です。
 EVDの潜伏期間は3週間に及ぶ事があるため、ギニア保健当局が、今後の数週間に、患者発生を報告し、さらなる疑い症例が近隣諸国で確認される可能性が判明するかもしれません。

リベリア
 リベリアで最初に診断確定例が確認された3月13日から4月24日までに、リベリア保健・社会福祉省(MOHSW)は6人の確定例、2例の可能性例、27例の疑い例を含む累計35例を報告しています。直近では4月6日に診断確定例が報告されています。MOHSWは、疑い例と診断された症例の再分類を、検査結果に照合しつつ開始しました。疑い例のほとんどがこの過程で疑い例から外れると予想されています。WHOはGOARNと協力して、リベリアにおける症例管理、IPC、疫学分野で任務を終了した専門家の交替を計画しています。

シオラレオネ
 現在、シオラレオネの保健衛生省は、EVDとシオラレオネで流行しているラッサ熱といったウイルス性出血熱(VHF)と矛盾しない3例を調査しています。EVDの疑い例(噂を含む)全てが調査中で、積極的疫学調査も継続中です。ケネマ政府病院のラッサ熱隔離施設研究室ではEVDとラッサ熱といったVHF疑い例の全てを分析しています。2014年4月24日時点で、98例の検体が集められ、検査されました。10検体でラッサ熱陽性、残り88例は両疾患とも陰性でした。15例の接触患者は21日間の監視期間を終了し、20例の接触者は未だに医療監視下にあります。

 WHOは、この事例に関する入手できる情報に基づき、ギニア、リベリア、シエラレオネへの渡航や貿易を制限することを推奨していません。