(No.110)

西アフリカにおけるエボラ出血熱の集団発生(12) 平成26年5月7日更新

ギニア
 5月3日18時の更新情報です。ギニア保健省(MOH)は累計231例、のエボラウイルス感染症(EVD )、うち155例が死亡したと報告しました。

 5月2日時点での127例のエボラウイルスのポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)により診断確定した症例数から増えていません。しかし診断確定例から死亡例が1例増え、82例になりました。

 新たに5例の可能性例が増え、以前報告した可能性例から5例死亡例が増えました。(現在、可能性例は49例、うち39例の死亡例)

 さらに55例(うち34例が死亡)が疑い例として分類されました。5月2日時点でコナクリで2例、ゲケドゥで3例が隔離されています。新たに報告された例と死亡例は全てゲケドゥからです。最近隔離された日はコナクリでは4月26日、ゲケドゥでは5月1日が最後です。

 流行の始まりからのEVDの臨床例の地理的分布は、コナクリで53例、うち24例が死亡、ゲケドゥで145例、うち105例が死亡、マセンタで22例、うち16例が死亡、キシドーグーで6例、うち5例が死亡、ダボラで4例、うち4例が死亡、ディンギラエで1例、うち1例が死亡です。キシドーグーでは4月1日以来、マセンタでは4月9日以来、新たな発症例は報告されていません。ディンギラエとダボラでは3月の終わり以来新たな発症例は報告されていません。

 流行の始まりからの診断確定例と死亡例の累計はコナクリで40例、うち20例が死亡、ゲケドゥで72例、うち50例が死亡、マセンタで13例、うち10例が死亡、キシドーグーで1例、うち1例が死亡、ダボラで1例、うち1例が死亡です。ここ3週間の疫学データの分析ではゲケドゥでの新たな発症例が減少していることが分かります。

 ゲケドゥではEVDの予防と制御活動が続いています。鉱山会社、銀行、学校、大学、地元の非政府組織等の地域社会のリーダーとの、地域社会における革新的な活動や社会集団活動、農村のコミュニティラジオを通じて、ポスターなどの啓発メッセージの普及、EVDに関する映画の上映、影響のあった村や近隣地域で各戸毎にEVDについての知識の共有がこれらの活動に含まれています。

 症例数や接触者数は、サーベイランスや接触者追跡調査が強化され、検査室検査が継続されることで症例や、接触者、検査データが統合されるにつれて更新訂正される可能性があります。PCR検査が陰性の臨床症例を検査するためのエボラウイルスの血清学的検査を最近導入したことにより、検査による診断確定例の最終的な数が変わりそうです。

 EVDの潜伏期間は最大3週間です。ギニアの保健当局は今後数週間、新たな症例を報告する可能性があります、そして近隣諸国でさらなる疑い例も出てくるかもしれません。
リベリア
 リベリアでの疫学的状況は変わっていません。リベリア保健・社会福祉省(MOHSW)は現在、リベリアでのウイルス出血熱(VHF)様の疾患への警告はありません。

 積極的な監視活動は続けています。5月5日時点で152例の接触者が21日間の経過観察期間を過ぎ、医学的な監視を終えています。

 WHOとアトランタのアメリカ疾病対策予防センター(CDC)は5月5日時点でMOHSW職員に対しEpiInfoによるVHFアプリケーションでの訓練を促進しています。

 国や地域の医療従事者のためにサーベイランス活動の訓練が来週、ポン郡とニンバ郡で計画されています。
シエラレオネ
 5月3日時点でシエラレオネでの診断確定例はありません。3月16日から5月2日までの間、シエラレオネ保健福祉省(MOHS)はEVDやラッサ熱等のVHF様の疾患105例の検体を検査しました。エボラウイルスに対するPCR検査を行ったが、10例はラッサ熱と診断確定しましたがEVDは検出されませんでした。ラッサ熱はシエラレオネで流行しています。

 35例の接触者を追跡調査しています。15例が21日間の経過観察期間を過ぎ、医学的な監視を終えています。

 年配者の地区での看護スタッフ、プライマリーヘルスケアのスタッフ、年配者の多い病院で勤務する看護師や臨床医と病院の院長を含む、地区段階の375人の医療従事者にEVDの準備と対応の訓練が行われています。個人用保護具は全ての地区の病院や選別された個人病院や布教団体の病院、軍病院に事前に配置されています。VHF様の病気の噂全ての調査を含め、積極的な監視活動は続けています。

 WHOは、ギニアやリベリアの保健省が行うEVD予防と制御活動を支援し続けています。5月5日時点で112人の専門家がその活動の支援のために配置されました。68人の専門家がthe global WHO surge mechanismを通じて配置され、33人の国際的な専門家は地球規模感染症に対する警戒と対応ネットワーク(GOARN)の協力機関の中から配置され、10人は外部の相談機関から雇われました。専門的知識は配置された地域の中から、医療人類学、臨床症例管理、情報管理、医療情報、監視、疫学、感染症の予防と管理、検査サービス、物流、リスクコミュニケーション、社会的動員、財務および管理と資源動員について集められます。

 現在までに87人の専門家はギニアに、20人はリベリアに、1人がシエラレオネに、4人がWHOのアフリカ地域担当オフィスに派遣されています。さらに12人が医療人類学、臨床症例管理、監視、疫学、検査サービス、物流、リスクとメディア通信の分野で配置展開中です。

 WHOは、この事例に関する現在の情報からは、ギニア、リベリアへの渡航や貿易を制限することを推奨していません。