(No.133)

西アフリカにおけるエボラ出血熱の集団発生(22) 平成26年6月11日更新

ギニア
 2014年6月5日ギニアでこれまで報告のなかったクルサと呼ばれる町でエボラ出血熱(EVD)による死亡例1例が発生しました。前回報告(No.131)から今回報告までにギニア全体では新たに7例発生(確定例4例、疑い例3例)となり、この内6例はコナクリ2例(死亡1例)、ゲケドウ1例(死亡1例)、マセンタ1例(死亡1例)テリメレ2例(死亡2例)での報告です。これで6月5日までで同疾患によるギニアでの患者数は351例(診断確定例210例、可能性例83例、疑い例58例)となり、内226例が死亡しています。
 地理的な分布を見ますとコナクリ67例(29例死亡)、ゲケドウ194例(146例死亡)、マセンタ45例(27例死亡)、デボラ4例(4例死亡)、キシドゥグゥ7例(5例死亡)ディンギライ1例(1例死亡)、テリメレ25例(死亡7例)、ボファ7例(死亡6例)クルサ1例(死亡1例)となっています。
 隔離状況については、コナクリで8例、ゲケドゥで9例、テリメレで15例、ボファで1例の合計33例が入院中です。観察中の接触者は国内で1011人となっており、その分布はコナクリ329人、ゲケドウ317人、マセンタ176人、テリメレ111人、ボファ78人です。

リベリア
 2014年4月6日以降、新たな診断確定例は発生していません。
 11人の接触者(5人は医療従事者、6人は一般社会での接触者)は現在監視継続中です。この11人は、「シエラレオネのカイラフン近郊の可能性例であり、リベリアのフォヤで死亡した事例」の接触者です。遺体は埋葬のためにカイラフンに戻されています。

シエラレオネ
 2014年6月6日18時現在、EVDの疑い例が新たに8例(診断確定例2例、疑い例6例)発生し、その中のカイラフンからの報告例3例のうち1例は死亡しています。他地域としてはケネマ1例、ボー1例、ポートロコ1例、フリータウン2例の発生となっています。同疾患は89例(うち死亡例7例)となりました(診断確定例33例、可能性例3例、疑い例53例)。
 シエラレオネでのEVD事例は、全部で、確定例33例、及び死亡7例ですが、全てカイラフンからです。医療関係者のEVD事例は5例(内1例死亡)です。最近では11例がケネマ病院で隔離されています。接触者30人の監視が継続されています。社会的抵抗が接触者の同定と監視の障害となっています。
 症例数は再分類や後ろ向き調査、症例や検査データの統合、監視強化により変わる可能性があります。

WHO の対応
 WHOと協力機関 は発生国に対して疾病の予防とコントロール対策強化手段を持続的にサポートしています。シエラレオネでは、WHOが医療従事者に対して症例やデータの取り扱い、社会的動員に対するメッセージの検閲などを指導しています。ケネマには1ヶ所しか隔離設備がありません。WHO とその協力機関はダラとコインドウの2ヶ所に隔離設備を建設中です。臨床家と感染症予防コントロール専門家が、これらの2ヶ所に配置され活動する予定です。
 WHO のサポートのもとで国連中央緊急対応基金(CERF)、国連人道問題調整部緊急基金(OCHA emergency fund)、英国国際開発省(DFID)、アフリカ開発銀行(ADB)から基金の拠出がなされています。ギニアとリベリアもADBからの基金拠出を受けています。
 WHO本部とアフリカ部局は合同で、ギニアに対して集団発生対策の再調査に関する支援を行っています。
 WHOは、この事例に関する現在の情報からは、ギニア、リベリア、シエラレオネへの渡航や貿易を制限することを推奨していません。