(No.136)

中東呼吸器症候群コロナウイルス感染確定例報告(100) 平成26年6月16日更新

 2014年6月13日の更新情報です。サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、イラン・イスラム共和国の国際保健規則(IHR)担当窓口は、中東呼吸器症候群コロナウイルス (MERS-CoV) の感染確定例を世界保健機関(WHO)に報告しました。

 サウジアラビアが報告した症例の詳細は以下の通りです。
 2014年4月11日から6月9日までの間に、サウジアラビアから515例のMERS-CoV感染確定例がWHOに報告されています。これは、これまでに報告された402例の診断確定例に、医療機関の記録を再調査して確認された113例が含まれており、6月3日にサウジアラビアから報告されました。MERS-CoV対策におけるサウジ当局とWHOの連携により、これらの症例の更なる情報が提供される予定です。
 この402例の診断確定例は、114例の死亡例を含んでいます。
 35例はメディナ、132例はリヤド、208例はメッカ地区(ジェッダ154例、メッカ39例、クンフザ8例、アル・ターイフ7例)、10例はタブーク、6例はアル・ジャーフ、3例はナジュラン、3例は東部州から報告されています。5例については、発生場所が特定されていません。
 402例の年齢中央値は46歳(生後9ヶ月から94歳の範囲)で、これらのうち388例における性別は58.3%が男性です。
 398例のうちほぼ半分(44.5%)の症例は、死亡114例含み重症で、114例(28.6%)は無症状もしくは軽症でした。402例のうち、140例は少なくとも1つの基礎疾患を有することが報告されており、基礎疾患が報告されたのはわずか149例でした。
 402例のうち25%以上(109例)が医療従事者でした。109例の医療従事者のうち、63例は無症状もしくは軽症、35例は中等症(入院を必要とするが、集中治療室での治療は必要としない症例)、7例は重症、4例は死亡例でした。

 UAEが6月4日に報告した症例の詳細は以下の通りです。
 患者はアブダビ在住の36歳の食肉市場従業員で、ラクダや羊の屠殺場で働いており、症状はありませんでした。屠殺場での一般的なスクリーニングの一部として喀痰が検査され、5月20日にMERS-CoV陽性が確認されました。以前のMERS-CoV感染確定患者との接触歴はなく、渡航歴もありませんでした。現在は隔離されて安定した状態です。
 この患者の接触者の調査及び経過観察が行われており、他の症例は確認されていません。

 イラン・イスラム共和国が6月4日に報告した症例の詳細は以下の通りです。
 患者は35歳の看護師アシスタントは、5月26日に軽い症状が、28日には喀痰を伴う咳が出現、26日に採取された咽頭スワブが検査されMERS-CoV陽性が確認されました。患者は自宅に留まり、感染制御予防策に従うことを指示されていました。患者は、5月26日にWHOに報告された同国最初のMERS-CoV感染確定患者と、濃厚接触があります。基礎疾患はなく、発症前14日間の動物との接触歴やラクダの生(乳)製品の摂食歴はありません。6月3日、症状が消失し現在は安定した状態です。
 医療従事者や家族における彼女の接触者の調査が行われています。

 2012年9月から現在まで、世界中からWHOに公式に報告されたMERS-CoV感染確定患者は697人で、このうち210人が死亡しています。この合計数は今回報告された患者を含んでおり、402例はサウジアラビアから報告された上記の症例で、2014年4月14日以降に報告された390例が含まれています。