(No.144)

中国の鳥インフルエンザA(H7N9)について(97) 平成26年6月27日更新

2014年6月24日更新
 2014年6月23日、中国の国家衛生・家族計画(出産)委員会(NHFPC)は、世界保健機関(WHO)に鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)の新たな診断確定例を1例報告しました。

 患者は浙江省泰州市の51歳の男性で、6月2日に発症し、6月6日に入院しました。現在、重篤な状態です。生きた家禽との接触歴があります。
中国政府は、下記のサーベイランスと対策を講じています。

・状況分析の強化、
・患者管理と治療の強化、
・市民とのリスクコミュニケーションや情報提供
 全体的なリスク評価は変化していません。

 中国本土から香港に輸出された生きた家禽から鳥インフルエンザA(H7N9)の以前の検出報告は、生きた家禽の動きに伴って感染が拡大する可能性を示しています。現時点では、鳥インフルエンザA(H7N9)が国際的伝搬を示唆するものではありません。このウイルスは家禽に感染しても無症状のため、継続的な監視が必要です。今後も同ウイルスによる散発的なヒト感染例は、流行地域および近隣で発生が予想されます。感染地から感染者が海外に渡航する場合、移動中もしくは到着後に感染が発見されるかもしれません。この場合でも、ウイルスはヒトからヒトへの感染能力を持っていないので、地域での感染は起こりにくいと考えられます。持続的なヒトヒト感染が生じているという根拠はありません、故に国際間の渡航に伴ってこのウイルスが拡がる危険性は低いです。
 WHOは、流行地域への渡航者に対して家禽農場、生きたトリ市場の動物、堵殺がなされている場所への入場、家禽や他の動物の糞で汚染されているとみられる場所、部位との接触等を避けるよう勧告しています。石けん水を用いての頻回の手洗いをも推奨しています。また、食品安全と食品衛生を順守するべきです。

 WHOはH7N9の件で、入国ポイントでの特別なスクリーニングや、いかなる渡航・貿易制限も勧告していません。鳥インフルエンザの流行地域に滞在中、もしくは帰国後直ぐに急性呼吸器症状を呈した場合は、常に鳥インフルエンザへの感染を診断に際して、念頭に置くべきです。

 WHOは各国に、SARI(重症急性呼吸器感染)の調査を含むインフルエンザの調査を強化し、通常見られない事例は常に注意深く検証するよう求めています。それは、国際保健規則(IHR)の元ヒト感染例の報告を確保し、各国が保健対策活動を継続するためです。