(No.171)

西アフリカにおけるエボラ出血熱の集団発生(36) 平成26年7月31日更新

疫学と調査

 WHO(世界保健機関)は、シェラレオネ、リベリア、ギニア三カ国に於けるエボラ出血熱(EVD)の流行状況の監視を継続している。三カ国の疫学状況は危険なままで、地域住民と医療機関で感染伝搬が継続している。
 7月28日~30日の間に、合計53 例の新規発生(疑い例、可能性例、確定例)と58例の死亡が、上記三カ国とナイジェリアから報告されている。
特にリベリアとシェラレオネにおけるEVD発生数の増加は、医療機関での感染伝搬と接触者調査等の判明した問題に対応するための全てによる集中的な努力を必要としています。更なる専門性を有する人的資源が、流行国でのEVDの拡がりへの取り組みには必要とされている。ギニアでのEVD流行は、ここ数日小康状態となっている。
 ナイジェリアでは、空港での接触者の内の疑い例2名は、最初のPCR検査ではEVD陰性であった48時間後に確認検査(2回目)が予定されている。住民への意思疎通と共に、接触者調査が継続中である。
 トーゴにおいては、リベリアからナイジェリアへのフライトにおいて、途中首都ロメで降機した乗客がいたため、疫学調査員が空港当事者と協力し接触者調査の一環として乗客の住所を調べている。トーゴとナイジェリアでは、EVD対策計画が完成し周知されている。
 ナイジェリア、トーゴ、ガーナの政府当局はWHOとその関係機関と密接に協力し、対応計画の準備と同様に接触者の判明とその追跡を実施している。


保健部門と対応

 WHO事務総長は4月30日夕刻、ギニア・コナクリに到着し、同国大統領により召集された大統領会議に出席し、EVD問題について意見を交わした。同日、この会議の準備のため省庁間の会議が開催され、三カ国の保健大臣、彼らの保健技術者、EVD対策活動に従事するWHOと他の関係者が出席しています。
 この会議は、ギニア、リベリア、シェラレオネ三カ国の長と、コートジボアール(象牙海岸)保健大臣により多くを委託する事を目的としています、コートジボアールの保健大臣は、同国大統領の代理でEVD伝搬阻止のため連携しています。委員会の最終共同公式発表は、本日4カ国から会議終了時に署名される予定です。
 4カ国では、対策のあらゆる局面において規模の拡大と強化する試みが、現在なされ、その中には疫学調査、接触者追跡、広報活動と住民啓発患者治療と感染防護対策、調整とスタッフの身の保全が含まれます。WHOはまた、各国の対応計画を完遂するため種々の関係機関と連携し、流行地域に適切な対応をもたらすため、更なる専門家を派遣しています。WHOと関係機関(CDC、MSF、UNICEF、IFRC、ダカールのパスツール研究所、子供救済、ギニアなどの対策)は、コナクリにあるEVD地域対策調整センター(SEOCC)を通じて連携を継続し、流行対策を加速しています。
 WHOは、現在の状況に鑑みて、ギニア、リベリア、シェラレオネ、ナイジェリア地域への貿易・渡航制限の適応は、勧告していません。


更新情報

 EVDによる新規患者発生と死亡例は、ギニア、リベリア、シェラレオネ、ナイジェリア保健省から報告が続いています。2014年7月28日から30日の間に、55例の新規発生と58例の死亡例がこの4カ国から報告され、詳細は下記です。

ギニア:新規発生5、死亡3、リベリア:同31、死亡46、シェラレオネ:同17、死亡9、そしてナイジェリア:新規に2例の疑い例(当所の検査では陰性)

 7月30日現在、EVDに起因する当該4カ国の発生数の累計は、1440例、死亡826例です。分布と区分は下記の通りです、ギニア:472例(確定例337、可能性例122、疑い例12)、うち死亡346例、リベリア391例(同、109、181、101)、うち死亡227例、シェラレオネ:574例(同507、41、26)、うち死亡252例、およびナイジェリア、3例(0、1、2)、死亡1例。
下記は当該4カ国、7月30日現在の確定例、可能性例、疑い例の一覧

 

新症例 1

確定例

可能性例

疑い例

総数

ギニア

症例

5

337

122

13

472

死亡例

3

220

122

4

346

リベリア

症例

31

109

181

101

391

死亡例

46

103

88

36

227

シエラレオネ

症例

17

507

41

26

574

死亡例

9

209

34

9

252

ナイジェリア

症例

2

0

1

2

3

死亡例

0

0

1

0

1

総数

症例

55

953

345

142

1440

死亡例

58

532

245

49

826

28日から30日の間に新規発生報告

 発生数合計は、再分類、広報調査、検査結果還元により変化しやすい。これらのデータは、各国保健省からの報告された公式情報に基づく