(No.175)

西アフリカにおけるエボラ出血熱の集団発生(39) 平成26年8月8日更新

疫学とサーベイランス

 2014年8月5日から8月6日までの間に、ギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネからエボラウイルス疾患(EVD)の新規患者68人(診断確定例、可能性例、疑い例を含む)と死亡者29人が報告されました。
保健部門の対策
 6日と7日に現在の流行が全世界的に懸念される公衆衛生における緊急事態であるのかどうかを判断するために、遠隔地間での緊急会議(テレビ会議)が行われました。提供された情報についての議論や審議の後、委員会は以下の勧告を発表しました。
・西アフリカにおけるエボラの流行は「緊急事態」であり、他国への公衆衛生上のリスクとなっています。
・更なる感染拡大の後に起こりえる結果は、ウイルスの毒性、人口の多い地域社会、医療機関での伝染パターン、現在流行している、最も危険な国々脆弱な保健システムを考えると、特に深刻です。
・国際的に協調した対応がエボラの国際的な感染拡大を防ぎ、封じ込めるためには不可欠であると考えられます。
 国際的な懸念の公衆衛生非常事態(PHEIC)のための条件に一致していることが、会議では満場一致で決まりました。一時的な推奨事項のリストを含む全体の文は、以下のサイトで見られます。
http://who.int/mediacentre/news/statements/2014/ebola-20140808/en/.
 8日、局長であるマーガレット=チャン博士は全世界の取材陣に対し、WHO本部から記者会見を行いました。チャン博士は12日にジュネーブで国連や他の国際機関の常駐の使節団や視察団へ、その地域の流行状況と現在進行中の対応について説明する予定です。被災国に常駐している代表は、エボラへの対応や優先順位について、各国の政府を代表して発表するために招集しています。
 11日、WHOは西アフリカで進行中のEVD流行に対し実験的な治療法を探し始めるために医療倫理学の専門家の研究班を招集する予定です。現時点でこの致死的なウイルスに対する公認の治療薬やワクチンは存在しませんが、いくつかの実験的な選択肢が、現在開発中です。米国の信仰に基づく援助団体の2人の医療従事者への最近の治療は、流行状況下での安全性が試験されていない、または確認されていない薬をヒトに使用するかどうかについて疑問を提議しています。エボラの場合、供給品は非常に限られており、もし供給品が使われる場合に受け取るべきかどうか疑問が起こります。


患者数情報の更新
 EVDに起因する新規患者と死亡者について、ギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネの保健省から報告が続いています。2014年8月5日から6日までの間に、死亡者29人を含むEVDの新規患者68人が4カ国から報告されました。ギニアでは死亡者4人、リベリアでは患者38人と死亡者12人、ナイジェリアでは患者4人と死亡者1人、シエラレオネでは患者26人と死亡者12人です。
 2014年8月6日の時点で、4カ国でEVDに起因した患者の累計数は、死亡者961人を含めて1,779人となりました。患者の分布と分類は以下のとおりです。ギニア:患者495人(確定例355人、可能性例133人、疑い例7人)・死亡者367人、リベリア:患者554人(確定例148人、可能性例274人、疑い例132人)・死亡者294人、ナイジェリア患者13人(確定例0人、可能性例7人、疑い例6人)・死亡者2人、シエラレオネ:患者717人(確定例631人、可能性例38人、疑い例48人)・死亡者298人。

 2014年8月6日時点のギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネにおけるEVDの診断確定例、可能性例、疑い例、死亡例

 

新症例※

確定例

可能性例

疑い例

総数

ギニア

症例

0

355

133

7

495

死亡例

4

231

133

3

367

リベリア

症例

38

148

274

132

554

死亡例

12

132

117

45

294

ナイジェリア

症例

4

0

7

6

13

死亡例

1

0

2

0

2

シエラレオネ

症例

26

631

38

48

717

死亡例

12

259

34

5

298

総数

症例

68

1134

452

193

1779

死亡例

29

622

286

53

961

 ※ 新症例は2014年8月5日から8月6日までの間に報告された患者
 症例数の総数は、分類変更、後ろ向き調査、症例と検査結果の統合、そして強化されたサーベイランスにより変化します。記載されているデータは、保健省から報告された最も有用性の高い情報に基づいています。