(No.190)

カメルーンにおけるポリオの報告(3)

 2014年9月6日、カメルーンで野生株ポリオウイルス1型 (WPV1)の新規症例2例(6月26日と7月9日に麻痺を発症)が、東部州から報告されました。これらの最近に分離されたウイルスの遺伝子解析の結果は、継続的な野生株ポリオウイルスの循環、未検出の感染伝播によるサーベイランスのギャップ、及び国の新たな地域への地理的拡大を裏付けています。
 カメルーンにおける流行は、少なくとも2013年10月から続いています。流行は赤道ギニアへの国際的な拡大を伴い、2014年まで続きました。2014年3月、世界保健機関(WHO)は、中央アフリカ共和国(CAR)から脆弱な(免疫の無い)難民が流入しているため、カメルーンからポリオが国際的に拡がるリスク評価を非常に高いとしています。このリスク評価は適切に実施されています。カメルーンのさらなる未検出の感染伝播は除外することができません。また、CARへのウイルス拡散の危険性は、CARからカメルーンへの大規模な人口移動により高くなると考えられています。
 2014年5月、WHOの事務局長は、国際保健規則の下で、野生株ポリオウイルスの国際的な拡がりを、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)と宣言しました。カメルーンは、野生株ポリオウイルスを輸出する国であり、さらなる国際的拡大のリスクを軽減するための特別措置を実施することを推奨された基準を満たしている国の一つになります。
 カメルーンは、2014年に全国7ヶ所で補足的予防接種活動(SIAs)を実施しています。次の地方におけるSIAsは、公式・非公式難民キャンプにいる全年齢層と、10歳未満の小児を対象として、2地域(東部州とアダマワ州)で8月23日~26日と9月4日~7日に予定されています。8月22日には、CARが国の西半分をカバーするであろう5つの地域・全国予防接種活動を開始し、それによりアフリカ地域の中央ブロックの国々をカバーすることが9月に終了する予定です。
 カメルーンにおけるこれまでの流行対策の質は、地理的な地域によって変動していました。新規症例や未検出、感染伝播の地理的な拡大の確認は、追加の緊急流行対策活動の計画をもたらしています。成功するために重要なことは、経口ポリオワクチン(OPV)が全ての子供に複数回到達するキャンペーンの質の実質的な改善を確実にすることです。同様に重要なことは、流行の完全な範囲を決定して追跡することができるように、監視の質を迅速に改善するための努力です。
 全ての国々、特にポリオに感染した国や地域へ頻繁に旅行する国々が、新たなポリオウイルスの輸入を速やかに検出して迅速な対応を促進するために、急性弛緩性麻痺症例のサーベイランスを強化することが重要です。国や区域、地域は、新たなウイルスの輸入による影響を最小限にするために、地区レベルにおける定期予防接種の接種率を一律に高い水準に保つべきです。
 ポリオの発生地域への渡航者におけるワクチン接種の推奨事項は、WHOの「国際渡航と健康(International Travel and Health)」において公開されています。