(No.208)

ウガンダのマールブルグ病(MVD)

 2014年10月10日の更新情報です。 
 今月の5日ウガンダの保健省は世界保健機関(WHO)に対してウガンダのカンパラでマールブルグ病の診断確定例が発生したことを報告しました。患者は、本年9月11日に発症した医療従事者で、カンパラのメンゴ病院で働いていました。患者は、ムピジ県保健所に9月17日に照会され、その後23日にカンパラのメンゴ病院に移送されました。入院時には発熱、頭痛、腹痛、嘔吐、下痢があり9月28日に死亡しました。本例は過去4週間の間、ムピジ県を超えての渡航歴やコウモリ、患者との接触ブッシュミートの喫食などの既往はありません。10月3日、患者の検体予備検査でマールブルグウイルスが陽性となり、翌日ウガンダウイルス研究所(UVRI)の検査で確定診断されました。現在まで146人の接触者が同定されMVDと合う症候がないかモニターが実施されており、11人の接触者にMVDに合致する症候が認められています。MVD症状を呈した有症者の検体は、現時点では、全て陰性でした。2回目の検体採取が行われUVRIで検査されています。接触者の一人であるケニヤ人の葬儀屋は、ケニヤに戻ってから発熱咳の症状を呈しましたが、マールブルグ、エボラウイルス共に陰性でした。しかし同患者はケニヤの緊急対策チームによって監視されています。


公衆衛生対策
 ウガンダの保健省は国家特別委員会を立ち上げ、定期的なミーティングを実施、下部委員会も立ち上げられています。
 WHO、国境なき医師団(MSF)、米匤疾病予防管理センター(CDC)は、隔離治療施設の設立強化、個人防護装備(PPE)の事前配備、感染コントロール予防に対しての医療従事者のトレーニング等の面、患者治療や社会的動員等からなる、調査と対策実施に於いてウガンダ政府当局をサポートしています。4つの集学的チームが、綿密なリスク評価を実施するために配備されています。調査と接触者の同定は、現在カンパラ、ムピジ、カセッセで実施されています。


WHOの推奨事項
 MVDは重篤で致命率が高く、エボラウイルス病の原因となっているウイルスと同じ族(科)のウイルスにより引き起こされます。ともに現在西アフリカで起こっているエボラウイルス病のように大きなアウトブレイクの原因となります。最も直近のウガンダで見られたMVDは、2012年で、20人の患者がカバレ地方、カンパラ、イバンダ、ムバララ、カバロレで発生し、9人が死亡しています。 WHOは、現在利用されうるこのアウトブレイクに対する情報に基づいて、ウガンダへの渡航や、交易を制限することを勧めていません。