(No.220)

中東呼吸器症候群コロナウイルス感染確定例報告(115)-カタール- 2014年10月31日更新

 10月12日と23日、カタールの国際保健規則(IHR)担当窓口は世界保健機関(WHO)に中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染確定例の2人を報告しました。本例は同国における今年初めての報告となります。
 
 症例の詳細は以下の通りです。

 1例目、カタール、ドーハに住む71歳の男性で10月1日にカタールからサウジアラビアのアルハサ地方へ3人の家族と共に車で旅行中に発症しました。10月7日に患者の症状が悪化し、アルハサの医療施設へ受診し、ドーハのハマド総合病院へ転院しました。10月11日に検査の結果、MERS-CoV感染が確認されました。患者はラクダ厩舎を所有し、ラクダの生乳の飲食歴がありました。患者は基礎疾患をもち、現在重篤な状態です。

 2例目、ドーハに住む43歳の男性で10月14日に発症しました。17日と18日に医療施設に治療を求めましたが受診できませんでした。20日に症状悪化し、病院受診し、同日検査の結果、MERS-CoV感染陽性が確認されました。患者には基礎疾患はありませんでしたが、症状が出現する14日以内にラクダ厩舎をよく訪れていました。他に危険因子への曝露歴はありません。現在、患者は安定した状態です。


公衆衛生対策
 この2人の家族や接触のある医療従事者は同定され、経過観察されています。現在、これらの接触者に症状はありません。適切な予防措置についての健康教育が、2人の患者と接触した家族に説明されています。カタールの最高健康評議会(SCH)によって、すべての医療機関における感染予防と制御方法が再強化されています。また、SCHは、環境省と合同で、2つの厩舎のラクダを調査しています。
 現在までに、世界中からWHOに公式に報告されたMERS-CoV感染確定例は885人で、少なくとも319人が死亡しています。