(No.227)

エボラ対応のロードマップ関する状況報告10 平成26年11月7日更新

 2014年11月7日、WHO(世界保健機関)は、エボラ対応のロードマップに関する状況報告を更新しました。

要約
 11月4日の時点で、合計13,268人のエボラウイルス疾患(EVD)の確定例、可能性例、疑い例が、感染を受けた6か国(ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネ、スペイン、アメリカ合衆国)と過去に感染を受けた2か国(ナイジェリア、セネガル)から報告されています。死亡者は4,960人です。

1. 広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
 現在、合計13,241人のEVDの確定例、可能性例、疑い例と死亡者4,950人が、11月4日の終わりにリベリアとシエラレオネの保健省から、11月3日にギニアの保健省から報告されています(表1参照)。今回の流行が始まって以降、リベリアとシエラレオネにおける全ての地区で少なくとも1人以上のEVD患者が報告されています(図1参照)。コートジボワールと国境を接するギニアとリベリアの8地区では、ギニアの1地区以外の全地区でEVDの確定例もしくは可能性例が現在も報告されています。

表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数

国名

症例定義

症例数

死亡者数

ギニア

確定

1,479

850

可能性

204

204

疑い

77

0

国別総数

1,760

1,054

リベリ

確定

2,514

未確定

可能性

1,629

未確定

疑い

2,476

未確定

国別総数

6,619

2,766

シエラレオネ

確定

4,149

921

可能性

79

174

疑い

634

35

国別総数

4,862

1,130

13,241

4,950

※表1のデータは、11月4日時点でのリベリアとシエラレオネの保健省から、11月3日時点でのギニアの保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、現在進行中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。

 11月4日の時点で、合計549人の医療従事者(ギニア88人、リベリア318人、ナイジェリア11人、シエラレオネ128人、スペイン1人、アメリカ合衆国3人)がEVDに感染したことが確認されており、311人の医療従事者が死亡しました。

 WHOは各医療従事者がどのようにして感染したかを追跡するために広範囲な調査を実施しています。その最初の指摘は、感染のかなりの割合がエボラの治療と看護に関連しない状況下で発生したということです。感染予防と管理体制の質の確保の点検が、流行が深刻な3か国すべてのエボラ治療病棟で実行され続けています。同時に、全てのEVD治療施設への十分量のPPE提供を確保するため懸命の努力がなされ、また医療従事者(HCW)個人の感染曝露を最小限にするためのトレーニングの実施とWHOの関連ガイドラインに沿った形で行われています。

 WHOは個人用防護具100万セット以上をギニア、リベリアおよびシエラレオネには運び、各国保健省とその支援者とともに防護具調達の作業を続け、もっとも必要とされる所へ防護具を配備させています。

2. 初期の症例が生じた国、あるいは限局的な伝播が生じている国
 マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国の5か国では広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から入国してきた症例が報告されています。

 ナイジェリアでは、20人の感染例と8人の死亡例がありました。セネガルでは1人の感染例がありましたが死亡例はありません。両国ともにその後の対策に成功し、セネガルとナイジェリアのEVD流行は、それぞれ10月17日および19日に終息が宣言されました。

 10月23日に、マリで初めてEVDの確定例が報告されました。症例は2歳の女児で、ギニアから祖母に連れられてマリに渡航しました。10月22日にKayes(カイ)にあるFousseyni Daou病院に入院しましたが、24日に亡くなりました。確定検査が行われた検体はバマコのSERAFOに送られ、EVD陽性でした。この検体は米国アトランタの疾病予防管理センター(CDC)が実験室で行った検査で確認されています。現在、108人の接触者が健康監視下にあります。

図1:ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD症例の地理的分布

※データは、各保健省から報告された公式情報に基づいています。この地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域の統治との関係についてWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。
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 スペインではマドリードでEVD陽性であった患者を看護し、感染した医療従事者が10月19日の検査でEVD陰性でした。2度目の検査陰性の結果を10月21日に得ました。スペインで感染者と接触者した医療従事者の83人については、全例が21日間の経過観察を終えました。新しい症例が報告されなければ、スペインでは、2度目の検査陰性の結果が判明した日の42日後に、エボラウイルス病の終息が宣言されます。

 アメリカ合衆国では4人の診断例が発生し、うち1人が死亡しています。最も新しい症例はギニアでボランティア活動を行っていた医療支援者で、10月17日にニューヨーク市に戻ってきました。男性は健康監視され、帰国時は無症状でした。しかし、10月23日に発熱したことを(当局に)報告し、EVD陽性であることが分かりました。患者は、現在、ニューヨークのベルビュー 病院で隔離されています。この病院は、ニューヨークでEVD患者を治療するために指定された、8つの病院のうちのひとつです。

 テキサス、ダラスのプレスビテリアン病院でエボラウイルス病陽性の患者を看護した後に感染した2人の医療従事者は、検査で2度の陰性が確認され退院しました。最後にテキサスでの3人の感染者と接触し、監視下にある接触者は11月7日で21日間の監視期間が終了します。

 感染の可能性が考えられる177人の接触者のうち、現在16人が健康監視下におり、161人が21日間の観察期間を完了しました。

表2:マリ、スペイン、アメリカ合衆国におけるEVD症例数

国名

症例定義

症例数

死亡者数

マリ

確定例

1

1

可能性例

0

0

疑い例

0

0

国別総数

1

1

スペイン

確定

1

0

可能性

0

0

疑い

0

0

国別総数

1

0

アメリカ合衆国

確定

4

1

可能性

0

0

疑い

0

0

国別総数

4

1

6

2

※合衆国でのデータはリベリアからのエボラ患者の治療にあたっている間に国内で感染し医療従事者2人とギニアで感染した1人を含んでいます。データは保健省により報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続して行われている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。


補足
コンゴ民主共和国でのエボラ流行
 2014年11 月3日現在、コンゴ民主共和国(DRC)で医療従事者8人を含む66人のEVD感染者(確定例38人、可能性例28人)が報告されています。また、49人が死亡と報告されています。この中には8人の医療関係者の中での死亡も含まれています。疑い例は現在全て取り除かれています。新たな接触者の報告例は現在ありません。

 最後に2回目の検査で陰性を確認した症例が病院を退院した日から27日が経ちました。42日が経てば、この国は終息を宣言することができます。この流行は、ギニア、リベリア、マリ、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネでの流行との関連はありません。