(No.236)

エボラ対応のロードマップ関する状況報告13 平成26年11月19日更新

 2014年11月19日、WHO(世界保健機関)は、エボラ対応のロードマップに関する状況報告を更新しました。

 11月16日の時点で、合計15,145人のエボラウイルス疾患(EVD)の確定例、可能性例、疑い例が、感染を受けた6か国(ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネ、スペイン、アメリカ合衆国)と過去に感染を受けた2か国(ナイジェリア、セネガル)から報告されています。死亡者は5,420人です。

 ロードマップの体系に沿って、国別の報告は2つのカテゴリーに分類されます。1つは、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)、もう1つは、初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生している国(マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国)です。今回の更新より、スペインが追加となりました。また、西アフリカにおけるEVDの流行とは関連のない、別のEVDの流行が発生しているコンゴ民主共和国の状況についても示されています(別掲参照)。

 マリでは、合計6人の確定例と可能性例が報告されており、このうち5人が死亡しています。直近の患者はマリの首都バマコからの報告で、エボラ検査陽性で10月24日に死亡した初発患者との関連はありません。初発患者の接触者は、全員が21日間の健康監視を終了しました。

 最も流行が深刻な3か国では、EVD流行対策の向上が続いています。現在、エボラ治療センター18か所で、1,000床以上のベッドが稼働しています。このベッド数の増加は、患者を隔離して病気の拡大を防ぐ対応でもあります。安全かつEVDで死亡した患者に威厳を払った方法で埋葬する対応は、流行の拡大を防ぐための重要な部分です。流行の発生以来、4,800人を越える死亡者に安全かつ威厳を払った埋葬が行われてきました。最も流行の伝播が深刻な3か国における53か所のEVD流行地域では、集められた検体を24時間以内に検査室に送ることが可能になっています。


1. 広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
 現在、合計15,113人のEVDの確定例、可能性例、疑い例と死亡者5,406人が、11月16日の終わりにギニア保健省とシエラレオネ保健省から、11月15日にリベリア保健省から報告されています(表1参照)。このデータは、WHOの各国事務局から報告されたものです。

表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数

国名

症例定義

症例数

21日以内の

症例数

死亡者数

ギニア

確定

1,698

308

982

可能性

210

7

210

疑い

63

未報告

0

国別総数

1,971

315

1,192

リベリ

確定

2,643

340

未確定

可能性

1,762

192

未確定

疑い

2,664

未報告

未確定

国別総数

7,069

532

2,964

シエラレオネ

確定

5,056

1389

1,041

可能性

79

5

174

疑い

938

未報告

35

国別総数

6,073

1394

1,250

15,113

2,241

5,406

※表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、現在進行中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。
 
 11月16日の時点で、合計584人の医療従事者)がEVDに感染したことが確認されており、このうち329人が死亡しました(表2参照)。この数は、マリ2人(うち1人死亡)、ナイジェリア11人、スペインでエボラ陽性患者治療の過程で感染した1人、アメリカ合衆国1人(うち2人が国内で感染、1人はギニアで感染)が含まれています。

表2. ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数

国名

症例数

死亡者数

ギニア

95

55

リベリア

341

170

シエラレオネ

132

104

総数

568

329


※表2のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、現在進行中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。

図1:ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD症例の地理的分布

※図1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。この地図に示された境界線や名前、使用された記号については、いかなる意味においてもWHOの見解を示すものではありません。これはすべての国、領域、都市、地域 の法的立場、またそれぞれの当局の法的立場を考慮してのことです。地図上の点線や破線は、現在完全な合意が得られていない可能性がある部分のおよその境界を示しています。

2. 初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生している国
 現在、マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国の5か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国から入国してきた患者が報告されています(表3参照)。
 マリでは、5人の死亡者(確定例4人、可能性例1人)を含む合計6人の患者が報告されました。直近の患者は、マリの首都バマコからの報告であり、10月24日に死亡した初発患者との関連はありません。初発患者との接触者は、全員が21日間の健康監視を終了しました。11月16日までに、合計384人の接触者が確認されて健康監視されています。接触者384人のうち96人は医療従事者です。
 スペインでは、マドリッドで患者の治療中に感染した医療従事者は、2度のEVD陰性が確認され、退院してから28日が経過しました。この医療従事者の接触者83人は、すでに21日間の健康監視を終了しています。
 アメリカ合衆国では、1人の死亡を含む4人のEVD患者が報告されました。ニューヨークの医療従事者1人、テキサスの医療従事者2人は、2度のEVD陰性が確認され、すでに退院しています。この国におけるすべての接触者は、21日間の健康監視を終了しました。
 ナイジェリアでは、20人の患者が発生して8人が死亡しました。セネガルでは、1人の患者が発生して死亡者はいません。両国は対策の成功により、セネガルは10月17日に、ナイジェリアは10月19日にEVD流行の終息が宣言されました。
表3.マリ、スペイン、アメリカ合衆国におけるEVD症例数と死亡者数

国名

確定例

可能性例

疑い例

死亡者数

医療従事者の割合

健康監視中の接触者数

マリ

5

1

0

5

33

384

スペイン

1

0

0

0

100

0

アメリカ合衆国

4

0

0

1

75

0


※ 表3のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、現在進行中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。

別掲. コンゴ民主共和国におけるエボラ流行
2014年11月11日現在、コンゴ民主共和国において、66人のEVD症例(確定例38人、可能性例28人)が報告されており、このうち8人が医療従事者です。また、合計49人の死亡者が報告されており、このうち8人が医療従事者でした。健康監視を受けている新たな接触者の報告はありません。
最後の患者が2回目の検査でEVD陰性が確認されて退院したと公表された日から41日が経過しました。新規患者の報告がなく、2度目の検査陰性の日付から 42日が経過すれば、この国は終息を宣言することができます。この流行は、ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネ、スペイン、アメリカ合衆国で流行しているものとは関連がありません。